医学界新聞

2012.05.14

東北発,ジェネラリスト育成プログラム始動

「みちのく総合診療医学センター」設立記念式典開催


 地方の医師不足が続くなか,家庭医・病院総合医など臓器横断的な診療を行えるジェネラリストが脚光を浴びつつある。特に東北地方は,高齢化・過疎化に加え,先の東日本大震災により医療資源に大きな打撃を受けた。地域医療復興の担い手としても,ジェネラリストに大きな期待が寄せられているのだ。

 そうした折,3月31日に「みちのく総合診療医学センター」設立記念式典がホテルメトロポリタン仙台(仙台市)にて開催され,"東北地域でジェネラリストを育てたい"という志に賛同する医療関係者が集った。


ジェネラリストになるための多様な研修コースを設定

 同センターは,宮城県民主医療機関連合会が母体となり,(1)診療所・小規模病院の家庭医療,総合病院の総合診療を担う医師育成,(2)ジェネラリストの教育・臨床研究の拠点,(3)東北地方の医療への貢献,を目的に設立された。中核を担う坂総合病院(塩釜市)は2010年,宮城県で唯一日本プライマリ・ケア連合学会の認定を受けた「宮城民医連家庭医療・総合診療後期研修プログラム」を立ち上げており,同学会の専門医資格取得をめざすコース(3年)のほか,日本救急医学会認定専門医をめざす「家庭医療に強いER研修コース」(4年),産休・育休明けの女性医師向けの「復職・再研修コース」(1年以上)も設け,多様な研修ニーズに応える。

 実際の研修では,坂総合病院を中心に中小病院や診療所とも連携し,ERから在宅まで,幅広い医療現場を体験できる()。総合診療重視型,訪問診療重視型など,希望する研修モデルを選べるほか,整形外科,精神科など専門科での研修も選択可能だ。

 研修施設の構成・研修フィールド

"みちのく"全体の医療をボトムアップする存在に

 式典では,センター長の小幡篤氏(坂総合病院)が「宮城県のみならず,被災地,ひいては"みちのく"全体のプライマリ・ケア発展の起爆剤となる存在をめざしたい」と語った。

 アドバイザーとして立ち上げからかかわり,今後も月1回「レジデントデイ」に指導を行う藤沼康樹氏(医療福祉生協連家庭医療学開発センター)は「施設や自治体単位ではなく,地方全体とつながろうという設立趣旨に共感した。対話を重ねながら,東北の地域医療の底上げに結びつけてほしい」と期待を寄せた。外部講師として指導予定の伴信太郎氏(名大)も「総合診療には多様性・柔軟性・創造性が必要。組織ぐるみのサポートを受け,独自の総合診療プログラムの開拓を」と激励。...

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