医学界新聞

2012.03.12

大規模災害発生時の障害者支援,リハビリテーションの在り方を考える


各演者の発表は,音声,手話,字幕にて同時通訳された。
 「大規模災害と障害者支援」と題した国際セミナーが2月11日,国立障害者リハビリテーションセンター主催のもと,国立障害者リハビリテーションセンター学院(埼玉県所沢市)にて開催された。地震,津波をはじめとした大規模災害は,障害を持つ人々に大きな困難をもたらすのみならず,新たな障害者を生み出す。本セミナーでは,2004年12月に起きたインドネシア・スマトラ島沖地震,2008年5月に起きた中国・四川大地震におけるリハビリテーション(リハ)の取り組みについての基調講演が行われたほか,東日本大震災における障害者の被災状況が報告され,大規模災害発生時の支援の在り方が議論された。

◆情報,支援からの孤立が大きなストレスに

 東日本大震災に関して発表者の多くが指摘したのは障害者の孤立だ。まず避難所での生活について,加藤俊和氏(日本盲人福祉委員会東日本大震災視覚障害者支援対策本部)は,情報の多くが貼り紙によって提供されたために視覚障害者が情報を得ることが困難であったと述べた。また浅野順一氏(宮城県ろうあ協会)によると,音に対して注意を払う習慣のない聴覚障害者は他の被災者から苦情を言われることがあり,半壊した自宅に帰宅せざるを得ず,孤立を深めた例もあったという。

 日當万一氏(全国脊髄損傷者連合会岩手県支部)は,「車椅子に座ったまま数日間過ごした」「仕切りのないなかで自己導尿を余儀なくされた」など,脊髄損...

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