医学界新聞

2012.01.16

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


linitis plastica型胃癌
その成り立ちと早期診断

中村 恭一,馬場 保昌 著

《評 者》和田 了(順大静岡病院教授・病理診断科)

胃癌にかかわる医療人の必読書

 その日の消化器内科学の講義は強い印象を残した。故・白壁彦夫教授のあの独特のお声がいつも以上に声高だったのみならず,鮮明に描出された微小胃癌のX線像が私のような並以下の医学生にも衝撃を与えたからである。その際,先進国・欧米をも凌駕している消化管病理学者名も併せ教えていただいた。講義終了後,母校の図書館に行き,その人の名前が「中村恭一先生」であることを再確認し,その名著を通じて,中村恭一先生の病理学の洗礼を受けた。

 あれから約30年過ぎたものの,本書の著者の一人,中村恭一先生は世界に誇れる病理学者の最高峰であると,今でも確信している。にもかかわらず,2000年3月に東京医科歯科大学医学部の教授を退官された後,なかなか公の場にいらっしゃらないためか,比較的若い医師・医療人の中には先生のお名前をご存じない人もいるらしい。もう一人の著者,馬場保昌先生は恩師・白壁彦夫先生の消化管画像学の担い手のお一人であり,現在もさまざまな研究会・勉強会において後進の指導にご熱心であり,門外漢の私でさえもわかるようにかみ砕いて,消化管のX線像の読み方をご披露されている。

 本書は「linit...

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