第16回日本糖尿病教育・看護学会開催
2011.11.21
第16回日本糖尿病教育・看護学会開催
福井トシ子会長 |
◆妊娠糖尿病患者にどのようにかかわるか
2010年,妊娠糖尿病(GDM)の定義と診断基準が改定された。GDMの新たな定義は,「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。妊娠時に診断された明らかな糖尿病は含めない」とされた。また,診断基準は,75gOGTTにおいて,「前値(空腹時)≧92mg/dL(5.1mmol/L)」「1時間値≧180mg/dL(10.0mmol/L)」「2時間値≧153mg/dL(8.5mmol/L)」のうち1点以上を満たしたものとされている。改定に伴い,GDMと診断される頻度は増加すると見込まれている。
シンポジウム「糖尿病と妊娠」(司会=杏林大病院・森小津恵氏,社会保険看護研修センター・大原裕子氏)では,新たなGDM概念の紹介やGDM患者にどのようにかかわるべきかについて議論された。
最初に登壇した安日一郎氏(国立病院機構長崎医療センター)は,診断基準の変更点を解説し,GDMに関する最新のエビデンスを紹介。GDMを発見することが,周産期合併症の予防,将来の2型糖尿病発症リスクの軽減につながると指摘した。
管理栄養士の立場から,GDM患者に対する栄養管理の考え方について発言したのは堤ちはる氏(日本子ども家庭総合研究所)。「妊娠期・授乳期は,これまでの食生活の振り返りと好ましい食習慣を学ぶ機会ととらえるべき」と語り,グリセミックインデックスの考え方,咀嚼回数が食後血糖値に与える影響,市販惣菜の利用方法などを解説し,実践的な栄養管理の手法を示した。
助産師でもあり,糖尿病看護認定看護師の資格を持つ高橋久子氏(杏林大病院)は,GDM患者の身体的・心理的サポートを考慮したアプローチについて言及した。内科で行われる血糖コントロールの指導と産婦人科で行われる妊娠に関する教育,これらをGDM患者が関連したものとしてとらえられるよう内科と産婦人科のスタッフ間の連携を密にする必要性を訴えた。
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