金原一郎記念医学医療振興財団贈呈式
2011.11.07
金原一郎記念医学医療振興財団
第50回認定証(第26回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,このほど「第26回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として38名(助成総額1700万円)を選出。10月17日に,医学書院(東京都文京区)にて第50回認定証贈呈式を開催した。
開会に際して挨拶に立った金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された本財団の概要を紹介。選出された対象者の研究をたたえ,「さらに良い研究に結びつけてほしい」と激励した。
認定証贈呈の後,同財団理事で選考委員長の野々村禎昭氏(東大名誉教授)が祝辞を述べた。氏は,東日本大震災により甚大な被害を受けた日本の現状について触れ,「学問研究を進めることを通じて,復興への貢献を果たしてほしい」と期待を語った。
続いて,受賞者を代表して川崎善博氏(東大分子細胞研・助成対象「癌発症における幹細胞マーカーLgr5の機能解析」)が挨拶に立った。氏が研究の対象としたLgr5は,G蛋白質共役型受容体(GPCR)のひとつだ。現在,臨床現場で使用される薬剤の半数以上がGPCRを標的としていながらも,Lgr5を含めた多くのGPCRの機能やリガンドはまだ解明されていないという。氏は,「本研究は,新たな創薬ターゲットの提示につながる重要なもの。受賞を励みに,今後も精一杯研究にまい進したい」と意気込んだ。
●金原一郎記念医学医療振興財団
第26回基礎医学医療研究助成金交付対象者および研究内容
No. | 氏名 | 所属機関(略称) | 助成対象 |
1 | 石田裕子 | 和歌山医大/法医学 | 死のメディエーターHJGBIを指標とするアセトアミノフェン中毒の新規法医診断法の確立 |
2 | 一戸猛志 | 九大/ウイルス学 | 自然免疫におけるウイルス認識機構 |
3 | 伊東大介 | 慶応大/神経内科 | 神経変性疾患由来iPS細胞の戦略的解析と再生医療への展開-アルツハイマー病の根本治療を目指して |
4 | 今居譲 | 順大/神経変性疾患 | 若年性パーキンソン病原因遺伝子産物によるミトコンドリアの品質管理機構の解明 |
5 | 岩田淳 | 東大/分子脳病態 | アルツハイマー病でのエピゲノム変化の検討 |
6 | 植松智 | 阪大/免疫フロンティア | 腸管粘膜固有層の自然免疫細胞群の解析 |
7 | 大石勲 | 産業技研/バイオ | 遺伝子組換えニワトリによる抗体医薬Trastuzumab生産 |
8 | 大河原美静 | 名大/神経遺伝情報学 | 神経筋接合部(NMJ;Neuromuscular Junction)の機能に関与する新規細胞外分泌因子の同定 |
9 | 大西俊介 | 北大/消化器内科 | 放射線腸炎に対する同種卵膜由来間葉系幹細胞移植による治療法の開発 |
10 | 奥井理予 | 桐蔭横浜大/先端医用工学 | 髄芽腫におけるPARP阻害剤の抗腫瘍効果と薬剤耐性に関与するmicroRNAの発現解析 |
11 | 川崎善博 | 東京大/分子細胞研 | 癌発症における幹細胞マーカーLgr5の機能解析 |
12 | 北村浩 | 名市大/病態医科学 | 新しいマクロファージ制御分子による2型糖尿病の制御 |
13 | 桑原宏一郎 | 京大/内分泌代謝内科 | 病的血管リモデリングにおけるrho依存性転写共役因子MRTF-A発現亢進の新規治療標的としての意義 |
14 | 齋藤敦 | 広大/霞研 | 小胞体機能制御による骨系統疾患治療法の開発 |
15 | 島田周 | 医歯大/分子腫瘍 | 胃がんマウスモデルを利用した未分化型胃がんの発症機構の解明と新規治療方法の開発 |
16 | 宿南知佐 | 京大/生体分子設計 | 異種間ゲノム工学による体軸骨格と骨髄の形成機構の解明 |
17 | 鈴木一博 | 阪大/免疫学フロンティア研 | 白血病細胞と骨髄ニッチの相互作用における新たな制御機構の解明 |
18 | 田浦学 | 熊本大/エイズ研 | HIV-1による自然免疫逃避機構に関わるエピジェネティクス |
19 | 竹田誠 | 国立感染症研/ウイルス第三 | 麻疹ウイルスのADE依存的中枢神経細胞感染機構 |
20 | 田中光司 | 三重大/消化管外科 | 二光子レーザー顕微鏡を用いたマウス生体内三次元消化管全層観察によるInfliximabの粘膜治癒過程における作用機序の解明 |
21 | 田中知明 | 千葉大/細胞治療 | 転写因子p53のエネルギー代謝調節機構と生活習慣病分子病態のクロストーク |
22 | 戸田智久 | 東大/神経機能 | 哺乳類における大脳皮質神経回路形成の時空間制御 |
23 | 殿山㤗弘 | 慶應大/先端研GSPSセンター | メダカを用いたTargeting Induced Local Lesions in Genome(TILLING)法によるヒト機能未知遺伝子群の機能解析 |
24 | 中村博幸 | 国立長寿研/再生歯科 | 移植なしで幹細胞による歯髄再生を誘導する新しい虫歯治療の開発 |
25 | 沼川忠広 | 国立神経研 | 妊娠期ストレス曝露による子宮内発育障害に起因した脳由来神経栄養因子(BDNFD)の機能減退における基礎的研究 |
26 | 萩原正規 | 阪大/産業研・精密制御 | 新奇グアニン修飾アンチセンス核酸を利用したRNAウイルス複製阻害法の開発研究 |
27 | 阪埜浩司 | 慶応大/産婦人科 | エピジェネティックに制御されるmicroRNAを標的とした子宮体癌に対するRNA創薬 |
28 | 平田快洋 | 北大/光バイオイメージ | 単一ニューロン培養法を用いた中枢時計安定化機構の光イメージング解析 |
29 | 廣瀬哲郎 | 産業技研・バイオ情報 | 神経変性疾患タンパク質機能を制御する非コードRNAの役割 |
30 | 藤田直也 | がん研/化学療法研 | がん幹細胞における抗がん剤耐性化機構の解析 |
31 | 眞部孝幸 | 藤田保衛大/遺伝子発現 | 新規神経系細胞分化調節因子としてのhnRNPA1 |
32 | 水上拓郎 | 国立感染研 | 成人T細胞白血病(ATL)モデルマウスを用いたATL癌肝細胞およびニッチを標的とした新規治療法の開発 |
33 | 水野健太郎 | 名市大/腎・泌尿器科 | 精原幹細胞マーカーEEF1A1・TPT1が精子形成細胞分化過程に及ぼす影響 |
34 | 溝口史高 | 医科歯科大/膠原病リウマチ内科 | 関節リウマチにおける病的滑膜線維芽細胞の起源の同定と新規治療法開発の検討 |
35 | 味八木茂 | 広島大/再生医療部 | 新規細胞間シグナル因子としての分泌型microRNAの運動器再生への応用 |
36 | 山下賢 | 熊大病院/地域専門 | 小胞体ストレスに着目した筋萎縮性側索硬化症の治療法開発 |
37 | 山本泰憲 | 神戸大/生理学 | 有芯小胞の開口放出を制御する分子機構の解明 |
38 | 山本亮 | 金沢医大/生理学 | ストレス関連ホルモンによる扁桃体興奮性調節機構の解明 |
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