医学界新聞

2011.08.01

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


多発性硬化症治療ガイドライン2010

日本神経学会,日本神経免疫学会,日本神経治療学会 監修
「多発性硬化症治療ガイドライン」作成委員会 編

《評 者》田代 邦雄(北大名誉教授/北祐会神経内科病院顧問)

MS治療の中心となる3学会が監修した画期的な1冊

 このたび日本神経学会,日本神経免疫学会,日本神経治療学会の3学会監修のもと,その作成委員会による『多発性硬化症治療ガイドライン2010』が刊行されたことは画期的なことである。

 今回のテーマである「多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)」は,欧米においては患者数も多く,医学的にも社会的にも関心が高いばかりでなく,種々の治療薬の開発・治療研究への道が進んでいる代表的な神経疾患であるが,わが国においては,その有病率が欧米に比べて低く,臨床像としても欧米型のMSのほかに,"視神経脊髄型MS"("OSMS"と称される)が多い。このことは日本での特徴とまで考えられるほどである。

 そこで,これらを含めた広義のMSについて,その診断・治療・研究の中心となるべき上記3学会が,その領域でわが国において活躍している委員を配置し本格的な取り組みを行い,今回の治療ガイドラインを作成・公表したことは画期的なことと言えるのである。

 世界的にみたMSの有病率の検討については膨大な資料,文献があるが,特に1965年の初版以来,MSの世界のスタンダードとされている教科書『McAlpine's Multiple Sclerosis』(第4版,2005年...

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