医学界新聞

2011.07.04

東日本大震災後のリハ支援を提言


 東日本大震災の医療支援が慢性期のステージに入るなか,被災地のリハビリテーションに対するニーズはますます高まっている。6月3日に開催された日本リハビリテーション医学会の専門医・認定臨床医生涯教育研修会(会場=毎日新聞ビル・大阪市)においては,今後のリハビリテーション(以下,リハ)支援の在り方が提言された。


 上月正博氏(東北大)は,「大震災後の対応――現地からの報告」と題して,当事者としての体験を中心に,現地の生々しい状況とこれまでの経過,ならびにリハ支援によるかかわりについて報告した。

 現在は新たな問題として,ライフラインや家屋など被災地の中での格差が生じてきている。それら格差を埋める意味でもリハが重要であり,廃用予防や各種障害への対応,機能低下に対する支援など,これまで行ってきたリハ医療を守ることに引き続き尽力すべきであると訴えた。また,リハのニーズが今後ますます増えることが予想されるなか,被災地でのリハの在り方として,医療者と被災者またはコメディカル,行政との間での合意の上に被災地のリハ医療・福祉を構築する「相補的関係」が必要不可欠であると強調した。

「リハ支援関連10団体」を設立

 日本リハビリテーション医学会理事長の里宇明元氏(慶大)は,学会としての対応について報告した。

 同学会は震災後すぐに震災対策本部を立ち上げ,さまざまな取り組みを行っている。また,リハ関連諸団体で「東日本大震災リハビリテーション支援関連10団体(以下,10団体)」(代表=日本リハビリテーション病院・施設協会長:浜村明徳氏)を設立し(),リハ支援体制を構築した。10団体では, 1年間をめどに当面100日単位でのリハ支援活動を計画策定し,連携・情報管理・マネジメントを行っていくことを目標としている。また,10団体として,日本医師会らが設立した「被災者健康支援連絡協議会」(以下,協議会)にも参加している。

 東日本大震災リハビリテーション支援関連10団体の組織図

 具体的な支援活動としては,リハ患者を受け入れ可能な病院の情報発信や相談窓口の設置,NPO法人「日本せきずい基金」からの要請に応えての人材派遣,福祉避難所の運営支援を実施。また今後は,仮設住宅併設サポートセンターの設立も構想しているとのことである。

 今後はニーズの把握と支援とのマッチングが重要であり,課題として災害下の地域リハに対応できるリハ医の育成が急務であることを訴えた。最後に,今後の取り組みとして,10団体や協議会の活動継続,学会50周年記念事業の活動の一環としての取り組み,災害対応体制の整備・強化,大規模災害マニュアルの策定などを挙げ,今後さらに重要となるリハの観点からの支援と協力を参加者らに呼びかけ,本研修会を締めくくった。

 なお,日本リハビリテーション医学会のこれまでの取り組みと支援等に関する情報については,同学会のウェブサイトを参照されたい。

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