医学界新聞

2011.06.20

第46回日本理学療法学術大会開催


武田禎彦大会長
 第46回日本理学療法学術大会が5月27-29日,武田禎彦大会長(介護老人保健施設ひむか苑)のもと,宮崎市のシーガイアコンベンションセンターにて開催された。学術大会のテーマは「リハビリテーションの未来図――理学療法は社会にどう貢献すべきか」。本大会は口蹄疫や鳥インフルエンザ,新燃岳の噴火などの災害に見舞われた宮崎の地で,東日本大震災後初の理学療法学術大会となったが,発表演題は1501題に上り,初日に行われたレセプションは「復興支援チャリティーパーティー」と銘打たれ,参加費の一部が義援金として寄付されるなど,大会テーマのとおり,本会の社会への貢献を印象付ける内容となった。

2012年 診療・介護報酬の同時改定に向けて
 開会式で日本理学療法士協会会長・半田一登氏は無事開催できたことに安堵の意を示し,引き続き国民の健康に寄与する保険制度をめざして診療・介護報酬の同時改定に向け粛々と行動すると表明。また,「上半身に甚大な障害を受けたわが国の回復には局所的治療だけでなく,全体的なリハビリテーションが不可欠」として先の震災にも触れ,継続的・全面的な支援の意を強調した。武田氏による大会長講演では,理学療法士がわが国に定着した経緯と供給過多の現状を概観し,質の担保とモチベーション維持の必要性が再確認された。

理学療法士の専門性を生かし,早期リハビリテーションへの参画を
 シンポジウム「急性期における理学療法の未来図――回復期から生活期へつなぐために」(司会=東京工科大・高橋哲也氏)では,昨今,診療報酬上も大きな注目を集めている"早期リハビリテーション"について,意見が交わされた。セッションの冒頭,司会の高橋氏から,医療制度が大きく変容し,同時に急性疾患への医療が日進月歩の発展をみせるなか,急性期理学療法がこの先の10年を見据えて,どのように変わり,また変わっていくべきかとの問題提起がなされた。

 これを受ける形で,脳卒中,運動器疾患,呼吸器疾患,心疾患の急性期理学療法にかかわる4名のシンポジストが登壇。それぞれの実践とともに,急性期理学療法の今後10年の未来図を示した。いずれの領域でも,在院日数の短縮やさらなる高齢化に伴い,より早期からの積極的なリハビリテーションが求められるようになること,また,さまざまな職種がチームとして急性期疾患に向き合う体制づくりが不可欠であることが指摘され,こうした背景を踏まえて,理学療法士が専門職としての独自の視点を持ち早期リハビリテーションに参画することの重要性が強調された。また同時に,それを補強するようなエビデンスを各領域で具体的に示していくことが今後の展望を開く鍵であることが確認された。