医学界新聞

2011.06.06

第85回日本感染症学会開催


 第85回日本感染症学会が4月21-22日に小野寺昭一会長(慈恵医大)のもと,ザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)にて開催された。東日本大震災の発生を受け一部のプログラムを変更した今回だが,緊急開催された2つのセミナー「災害と感染症対策」では,感染症の専門家として被災地支援のネットワークをつくることが使命と強調されるなど,感染症領域における課題を解決するための演題が並んだ。

 本紙では,感染症領域における多施設共同研究について議論したシンポジウムのもようを報告する。


 感染症領域では,病原体の種類が多様,診療科横断的といった感染症独特の性質が症例の除外判断を難しくさせるなど,多施設共同研究を困難なものとしている。シンポジウム「多施設感染症臨床研究推進の基盤作り」(座長=京大病院・一山智氏,東邦大・舘田一博氏)では,5人の演者が感染症領域における多施設共同研究の経験に基づき,研究推進のための方策を述べた。

感染症領域で臨床研究を成功させる知恵を出し合う

小野寺昭一会長
 最初に登壇した高倉俊二氏(京大病院)は,カンジダ血流感染の全国サーベイランスと,その結果に基づく抗真菌薬治療のランダム化比較試験の二つの多施設共同研究について紹介した。学会の支援に基づく調査であり成功裏に終了した前者に対し,後者では症例が集まらず失敗に終わったという。失敗の理由として,複雑なエントリー基準や候補症例に即時性が必要であった点を挙げ,治療介入研究の困難さを強調。ただ前者のような後ろ向き研究でも,結果に基づく介入後は生存率の改善につながったことから,現状を正確に知ることの意義を主張した。

 引き続いて,柳原克紀氏(長崎大病院)が地域で行う臨床研究...

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