医学界新聞

2011.04.18

第1回日本看護評価学会開催


菅田勝也理事長
 第1回日本看護評価学会が3月4-5日,菅田勝也理事長(東大大学院)のもと,東大(東京都文京区)にて開催された。学会設立に当たり菅田氏は,看護における「評価」はこれまで学問的に議論されてこなかったと振り返り,本学会では,(1)看護における評価ニーズと評価手法の体系を整える研究,(2)評価技術を洗練する研究,(3)新しい評価手法を開発する研究を推進し,評価をめぐる議論を深める場としたいと抱負を述べた。

 シンポジウム「クリニカル・インディケータをつかう」(司会=NPO法人卒後臨床研修評価機構・岩崎榮氏)では,患者のケアの質を測定・評価し,医療の質改善につなげるためにクリニカル・インディケータ(Clinical Indicator;CI)をいかに活用していくか,実践例を基に議論された。

 最初に登壇した林田賢史氏(産業医大病院)は,CIの概要とDPCデータを用いた指標化について解説した。氏は,CIの概要説明の中でAvedis Donabedian氏が示した医療の質を測る3つの評価軸(構造,過程,結果)を紹介。各医療機関ではこれらを量的な尺度として活用し,ケアの質のレベルの把握や質改善につなげてきたが,近年は外部に対する説明責任を果たすためにも活用されていると報告した。さらにDPCデータについて,患者の臨床情報と診療行為情報が入った全国統一形式のデータであり,CIが発展する上で重要な指標の一つであると強調し,その有効活用を促した。

 聖路加国際病院では2006年にQI委員会を立ち上げ,毎年改善すべき項目を設定して数値化・評価(Quality Indicator)し,病院全体でQI(Quality Improvement)に取り組んでいる。同院の寺井美峰子氏は,その取り組みの1つとして2007年に開始した転倒・転落予防について紹介。同院では転倒・転落発生率のモニタリングにより発生状況を分析し,病室に手すりを設置した。さらに,(1)転倒・転落リスクアセスメント,(2)予防立案,(3)患者への文書を用いた予防対策の説明,を予防策として開始し,実施率を測定。結果を各病棟にフィードバックすることで実施の徹底を図ったという。氏は成功の要因として,プロセス指標の導入が個々の看護師のモチベーション向上につなが...

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