専門医制度推進支援事業報告会開催
2011.04.11
社会に信頼される専門医制度を
池田康夫氏 |
わが国の研修施設調査について述べた松田暉氏(兵庫医療大/同機構研修施設委員長)は,現在の専門医制度の課題として,書面のみの研修プログラム審査,医師育成よりも医師確保に重点が置かれていること,また各学会による施設の監査が未実施である点などを列挙。専門医制度の標準化には,制度だけでなく個別の施設やプログラムを認定する仕組みを取り入れる必要があるとし,試行的事業として施設調査を行ったと背景を紹介した。
本年2月より開始した調査では,18の基本領域学会が推薦した21病院44診療科への訪問が予定されている。各施設には,病院機能評価を参考に作成した調査票に回答してもらうとともに,それを基に研修プログラムの評価や後期研修医へのインタビューを実施するという。氏は既に終えた調査から得られた印象として,専門医取得要件を上回る経験ができるプログラムもあった一方,研修プログラムの選択が個人に委ねられていることから,後期研修医を集めることが目的となっている施設が多かったと発言。また,専門医取得における症例経験の要件が欧米の基準に比べ少ないことから,計画性がなくても専門医が取得できてしまう様子が伺えたと語った。
氏は,本調査で明らかになった各専門医制度の特徴や課題を,米国の事例も参考にしながらフィードバックしていくと説明。施設調査は将来の認証制度の柱となり,第三者機関によるピア・レビューの仕組みがわが国の専門医制度の標準化,質の向上,社会的意義の向上につながると結論付けた。
支援事業は2010年度で終了するが,同機構では今年度新たに予算計上される厚労省助成金に基づき引き続き評価基準案や実地調査を行う予定。閉会に当たり,社会に信頼される専門医制度の確立をめざし活動を進めるとの方針が再確認された。
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