医学界新聞

2011.03.28

金原一郎記念医学医療振興財団

第25回研究交流助成金・第25回留学生受入助成金贈呈式開催


 金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,3月2日に医学書院本社(東京都文京区)にて,第49回認定証贈呈式を開催した。

 同財団は,基礎医学の振興を目的に,毎年2回,助成金を交付している。下期である今回は,海外で行われる基礎医学医療研究に関する学会等への出席を助成する研究交流助成金と,基礎医学医療研究を目的に日本へ留学する大学院生等を助成する留学生受入助成金が交付された。25回目となる今回の対象者は計23名で,贈呈式には,呉霜氏(千葉大医学研究院),平井明香氏(国立感染研),福井竜太郎氏(東大医科研)の3名が,対象者を代表して出席した。

 開会に際し,金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された本財団の概要を紹介し,「今回の受賞を機に,日本の今後の基礎医学の発展に結びつけていただきたい」と語った。

 認定証贈呈の後,選考委員長を務めた野々村禎昭氏(東大名誉教授)は,昨今の経済不況の影響で,医学研究において十分な研究費の確保が難しくなっていることを指摘。そうした現状を踏まえ,「ぜひ有効に使って,研究学問の進歩に役立てていただきたい」と交付対象者を激励した。

 続いて交付対象者を代表して福井氏が挨拶に立った。氏らの業績は,Toll-like Receptor(TLR)の異常によって起こる自己免疫疾患の発症メカニズムの解明だ。TLRは,ウイルスなど非自己の核酸を認識し生態防御システムを惹起する役割を持ち,その応答性はさまざまな分子によって制御されている。今回氏らは,Unc93 homolog B1(Unc93B1)と呼ばれる分子が独特な方法でTLRを制御していることを発見した。さらにUnc93B1の特定のアミノ酸を置換したトランスジェニックマウスが,全身性の炎症や細胞の異常な活性化の末に死に至ることを確認。Unc93B1分子内の免疫制御中枢部位の特定に成功した。これにより,Unc93B1が生態の恒常性維持に重要な役割を果たしていることが示唆されたという。

 氏らは,本年5月にイタリアで開催される「Toll meeting 2011」で今回の研究成果を報告する。「世界のトップクラスの研究者と密に交流することが可能であり,私のような若手にとっては研究の幅を広げる絶好の機会」と本会合への意気込みを語った。


●金原一郎記念医学医療振興財団

第25回研究交流助成金・第25回留学生受入助成金交付対象者および研究内容

No. 氏名 所属機関(略称) 助成金対象
1 藤村卓

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