医学界新聞

2011.03.28

意思決定を導く話し合いの道筋を示す

小児科学会「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」案


 第8回日本小児科学会倫理委員会公開フォーラム「重篤な疾患を持つ子どもの治療方針決定のあり方――話し合いのガイドラインの提案」が2月26日,早稲田大学(東京都新宿区)にて開催された。本フォーラムは,同委員会小児終末期医療ガイドラインワーキンググループ(委員長=愛育病院・加部一彦氏)によりこのほど作成された,「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン(案)」について広く意見を集めるために開かれたもの。小児医療に携わる医療者や患者家族,報道関係者など,多くの参加者を集めた。

 小児医療においては,重篤な疾患を持つ子どもの治療の差し控えや中止について,いかに方針を決定すべきか,さまざまな議論がなされてきた。子どもの病態には個別性があり,終末期医療に対する考え方も非常に多様であることから,本ガイドラインでは,(1)子どもの終末期の定義,生命維持に必要な治療の差し控えや中止の基準は定めない,(2)治療方針の決定に当たっては,家族,医療者が子どもの最善の利益について真摯に話し合い,パートナーシップを確立していくプロセスを最も重視すべき,の2点を基本方針として設定。さらに,この基本方針を踏まえた意思決定の過程が具体的にイメージできるよう,チェックリストが提示された()。

 現場で活用するためのチェックリスト

 本フォーラムでは,重篤な疾患を持つ子どもを持つ家族との信頼関係構築の難しさが語られると同時に,それを打開するための支援の在り方が,事例を通して検討された。そのなかで,特に医療者の自律的で真摯な取り組みの重要性が強調された。

 ワーキンググループでは,近く専用のメールアドレスを公開し,ガイドライン案についての意見を求める予定だ。その上で修正版ガイドラインを作成し,同学会倫理委員会,理事会の承認を得て,今年中の完成をめざすという。

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