MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2011.03.21
MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
実践ストレスマネジメント
「辞めたい」ナースと「疲れた」師長のために
久保田 聰美 著
《評 者》原田 博子(九大准教授・看護管理学)
ワーク・ライフ・バランス実現に必要なスキルを
本書は,「週刊医学界新聞」の連載(2006年4月-07年12月,全21回)を基にまとめられたものです。以前,「週刊医学界新聞」でこの記事を目にしたとき,なにか直感的に「これは重要な内容だ」と感じ,毎回大切に保存していたことを思い出します。
私は現在,日本看護協会の「地域へのワーク・ライフ・バランス普及推進プロジェクト」委員長として,看護職が働き続けられる労働条件・労働環境の整備に取り組んでいます。ワーク・ライフ・バランスの実現のためには,「ストレスマネジメント」と「タイムマネジメント」という2つのマネジメントスキルが必要だとされています。タイムマネジメントは時間の整理ですから,それほど難しいことではないでしょう。しかし,ストレスマネジメントは考え方や心の整理が重要で,これはとても難しいことだと思います。
ストレスマネジメントに困っている方,今さまざまな悩みがあって仕事を続けようかどうかと迷っている方は,本書の目次を見て,興味がある箇所から読むことをお勧めします。一つずつの事例から,著者の実践・研究を踏まえてさらに深く学べるように構成してあります。そのため,疲れていてもいつの間にか読み進めることができ,読み終わるころにはなんだかほっとすることでしょう。本書「はじめに」の部分で書かれているように,「理論と実践」をつなげる内容に強いこだわりを持って書かれています。理論というと堅苦しいイメージがあるのですが,読み進めて行くうちに「もっと深く学んでみよう」という気持ちになり,参考文献がその思いに応えてくれています。
現代は,身体的な面での医療は大きく進みましたが,精神的な面での医療や看護はまだまだ立ち後れ,そのため苦しんでいる人がたくさんいる時代です。私たち看護者は専門職として,自らのストレスマネジメント,組織のストレスマネジメントだけでなく,周りの人のストレスマネジメントにも気遣うことができる「優しい社会づくり」を進めていくことが求められています。ぜひ手にとって,読みたい箇所から読み進めてください。元気になれます。
A5・頁176 定価2,310円(税5%込)医学書院
ISBN978-4-260-01190-7


奥出 潤 著
《評 者》島本 和明(札幌医大学長/理事長)
心電図アレルギーからの解放
心電図は,胸部X線写真と共に,すべての患者で最初に施行される検査である。一方で,心電図は死に至る多くの心疾患の診断に重要であり,見逃しのこわい検査でもある。
医学部学生や循環器を専門としない医師に対して,これまで何回も心電図の講習会を行ってきたが,心電図は苦手という意識を持っている方が多かった。しかし,半日あるいは1日の講習で,心電図を眺めるという立場から計測を含めて読む経験をすることで,"意外と心電図はわかりやすいものですね"と最後に多くの方が言われ,安心したものである。
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