医学界新聞

2011.03.14

「がんと就労」シンポジウムが開催


 「がんと就労」シンポジウムが2月5日,東京都内にて開催された。本シンポジウムは,平成22年度厚労省がん臨床研究事業「働くがん患者と家族に向けた包括的就業システムの構築に関する研究」班(研究代表者=獨協医大・高橋都氏)が主催したもの。1年目の研究成果報告の場となった今回,会場には医療関係者からがん患者や家族,報道関係者まで多数の参加者が集い,活発な意見交換がなされた。


シンポジウムのもよう
 まず研究班代表の高橋氏が,がんが「死に直結する病」から「長く付き合う慢性病」に変化するなか,身体や心のケアから一歩踏み込み,がん患者が社会でどう生きるか考える時期が来ていると挨拶。就労実態の把握を皮切りに,就業支援リソースの分析と開発,普及啓発につなげたいと,研究の目的を述べた。

 看護師の丸光惠氏(東京医歯大)は,小児がん治療成績の著しい向上の一方で,成人後も多様な慢性疾患を持ちつつ生きる小児がん経験者が増加していると指摘。彼らが合併症やその治療と社会生活の両立に不安を抱えていること,実際に健康な小児と比較して大学進学率が低いことなどを示した。現在国内の14か所に長期フォローアップ外来が設置されているが,米国のように多職種が協働するシステマティックな支援体制構築が必要と氏は提言。小児がん治療施設の看護師を対象に調査を進めていることを報告した。

 子宮頸がんは,術後の外来放射線治療・化学療法など心身への負担が大きく,家事や就労への影響が懸念されている。看護師の江川京子氏(東京医歯大)は,子宮頸がんサバイバーが抱える生活上の問題に関する文献レビューの結果を提示。治療中や治療後も長期間にわたり生じる倦怠感やリンパ浮腫は生活...

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