医学界新聞

2010.08.30

日本のがん医療の未来を考える


 (財)癌研究会が主催する癌研オープンアカデミー「日本のがん医療の未来を考える」が7月25日,癌研吉田記念講堂(東京都江東区)にて行われた。がん医療をめぐっては,本年6月の「がん対策推進基本計画」の中間報告で死亡率・がん検診受診率の数値目標の達成にはまだ道半ばであることが提示され,計画のさらなる推進が求められる状況にある。本セミナーは,がん医療・がん研究のステークホルダーが一堂に会し“ともに話をする”ことを目的に初の試みとして開催。がん患者・臨床医・研究者が同じ目線から未来のがん医療のあり方について議論を深めた。

 本紙では,プログラムII「これからのがん研究とがん専門施設の果たす役割」ならびに総合討論のもようを報告する。


これからのがん研究・がん専門施設のあり方とは

総合討論のもよう
 これからのがん研究の中心となる「ゲノム医療」の立場からは,東大医科研の中村祐輔氏と宮野悟氏が登壇した。中村氏は,最近の国際的ながんカンファレンスでは「オーダーメイド医療,分子標的薬,橋渡し研究」が3大キーワードであるとし,治療に関連する遺伝子を調べ有効な患者を見つけ出すことが21世紀のがん医療となると提言。がん患者が生きる希望を見いだせるような研究を行いたいと意気込みを語った。宮野氏は,ゲノム研究をめぐる日米の現状を概観するとともに,氏らが今年度より取り組む文科省新学術領域研究「システム的統合理解に基づくがんの先端的診断,治療,予防法の開発」について説明した。

 引き続きがん専門施設の立場から,嘉山孝...

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