医学界新聞

2010.07.12

第45回日本理学療法学術大会開催


西脇雅大会長
 第45回日本理学療法学術大会が5月27-29日,西脇雅大会長(岐阜県総合医療センター)のもと,岐阜市の長良川国際会議場,他で開催された。本大会のテーマは「チャレンジ健康日本――高齢社会における担い手を目指して」。発表演題は1543題に上り,少子高齢化が急速に進む社会で,理学療法士がヘルスプロモーションの真の担い手となることを目指し,日々の研究成果の発表や活発な意見交換がなされた。

理学療法士の“真の実力”が問われる時代に
 開会式では日本理学療法士協会長の半田一登氏が昨年度の活動を振り返り,協会員から衆議院議員が選出されたこと,2008年度診療報酬改定において協会の要望事項がすべて認められたこと,理学療法士の新たな業務として“気管内吸引”が認められたことを挙げ,大きな飛躍の1年であったとした。一方で,「要望が通れば通るほど,社会からは真の実力が問われることになる」と強調。今年度はその最初の年であり,理学療法士1人ひとりが決意を持って実力を向上させていく必要があると呼びかけた。

新たなフィールドでの職域拡大を
 続いて行われた大会長基調講演では西脇氏が,急速な高齢化と少子化が理学療法士界にもたらす影響を人口統計などから提示。その上で,これからの理学療法士は「障害」だけではなく,生活の基盤となる「健康」にも目を向けていかなければならないと述べた。さらには介護予防の必要性について触れ,行政や健康産業の場に理学療法士の進出が進んでいない現状を説明。医療機関以外の場でも理学療法士が活躍できる可能性を示した。また医療現場においても,急性期リハビリテーションをより早期かつ集中的に行うことで,回復期・維持期への円滑な移行が促進されることが示されているにもかかわらず,急性期病棟での理学療法士の人員不足が慢性化していることを課題として指摘した。

 このように理学療法士の進出が立ち遅れている領域がある一方で,毎年多くの新人理学療法士が養成され,現場に配属されていることについても言及し,「個々人が理学療法士としての視点を持って新たなフィールドに参入していくことが,障害を持った対象者だけではなく,ヘルスプロモーションの真の担い手として職域を今後広げていく上で重要である」と述べ,講演を締めくくった。

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