第5回日本統合失調症学会開催
2010.04.26
統合失調症のよりよい姿を模索する
第5回日本統合失調症学会開催
第5回日本統合失調症学会が,3月26-27日,九大医学部百年講堂(福岡市)にて神庭重信会長(九大)のもと開催された。「統合失調症の多面的理解とケア」をテーマに掲げた今回は,医師のみならずコメディカルからも多数参加があり,会場は活況を呈していた。本紙では,27日のシンポジウムの模様を報告する。
共通点から考える2つの疾患
神庭重信会長 |
まず酒井氏が医学史における両疾患の足跡をたどった。氏は紀元前425年以降約1千年間の文献を研究し,「マニア」と「メランコリー」という言葉が,現代における双極性障害の概念を表していたと紹介。しかし一方で,この2語は幅広い「狂気」の概念も含有していたという。その理由として氏は,明確な病像を持つ特殊な病の存在と,それと関連しつつ錯綜した異種的全体像の認識が共有されていた可能性を示唆。統合失調症もそうした全体像の中に埋没していた可能性を述べ,いまだ定まらない現在の疾患分類にも共通する状況があることを指摘した。
続いて精神病理学の見地から,加藤敏氏(自治医大)が発言。DSM-V改定で発足した「精神病を脱構築する」作業委員会では,統合失調症・双極性障害などを包括した「全般的精神病症候群」の概念が提唱されているという。ここから氏は,単一精神病論の再評価の必要性を主張。疾患単位の病態把握から脱し,まず生命力動(感情障害),次いで人格構造(人格障害)の視座から診断がなされるべきとした。また,統合失調症と双極性障害は生命力動の視座では連続し,人格構造においては段差が見られることを解説した。
岩田仲生氏(藤田保衛大)は,遺伝研究の側面から発表。近年のゲノム解析の進展により,感受性...
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