金原一郎記念医学医療振興財団
2010.03.29
金原一郎記念医学医療振興財団
第24回研究交流助成金・第24回留学生受入助成金贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,2月25日に,医学書院本社(東京都文京区)において第47回認定証贈呈式を開催した。
同財団は,基礎医学の振興を目的に,毎年2回,助成金を交付している。下期である今回は,海外で行われる基礎医学医療研究に関する学会等への出席を助成する研究交流助成金と,基礎医学医療の研究を目的に日本へ留学する大学院生等を助成する留学生受入助成金が交付された。24回目となる今回の対象者は計27人で,贈呈式には,秋山泰身氏(東大医科研),高橋里史氏(慶大),三浦進司氏(健康・栄養研)の3人が,対象者を代表して出席した。
開会に際し,金原優同財団常任理事(医学書院社長)は,「今回は,非常に高度なテーマを権威ある学会・研究会で発表しようとする申請が多かった」と述べ,審査を通過した交付対象者の研究・発表を高く評価し,研究のさらなる発展に期待を示した。
認定証贈呈の後,選考委員長を務めた野々村禎昭氏(東大名誉教授・微生物科学研究会理事長)は,留学生受入助成金を受け取った中国人研究者2人と再会したエピソードを紹介。現在,2人は共に中国で教授の職を務めていることを明かし,「この助成を一つの契機として,今後も研究に励んでほしい」と交付対象者を激励した。
続いて交付対象者を代表して秋山氏が挨拶に立った。氏らの研究テーマは,自己免疫疾患の発症機構の解明。T細胞を産生する胸腺に存在する髄質上皮細胞は,自己抗体反応を誘導するT細胞を除去する機構において重要な働きをしている。今回,氏らは,RANKおよびCD40という因子が髄質上皮細胞の分化・増殖に関与していることを突き止めた。驚くべきことは,RANKは骨形成に不可欠な因子であることで,この発見により,自己免疫疾患の抑制と骨形成の間に接点が示唆されたことになるという。
氏らは,今年6月にギリシャで開かれる第3回国際骨免疫学会で今回の発見を報告する。氏は,「海外の研究者たちとの議論により,免疫病の治療や予防を行う新たな方法の発見へと展開することを期待している」と,研究への意気込みを語った。
●金原一郎記念医学医療振興財団
第24回研究交流助成金・留学生受入助成金交付対象者および研究内容
No. | 氏名 | 所属機関(略称) | 助成対象 |
1 | 地主将久 | 北大/遺伝子研/感染癌研究センター | 第101回米国癌学会年会 |
2 | 木下彩栄 | 京大/人間健康科学/在宅医療看護 | 国際アルツハイマー学会 |
3 | 宮本幸 | 成育医療センター/薬剤治療研究部 |
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