医学界新聞

2010.02.22

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


マーガレット・ニューマン
変容を生みだすナースの寄り添い
看護が創りだすちがい

マーガレット・ニューマン 著
遠藤 惠美子 監訳
ニューマン理論・研究・実践研究会 訳

《評 者》河 正子(NPO法人緩和ケアサポートグループ代表)

ニューマンの“深さ”に,心ざわめいて

 監訳者の遠藤先生の論文や著作,先生が看護を考える基盤とされているマーガレット・ニューマンの著書からはこれまでも多くの刺激をいただいてきた。私が学んできた健康や看護についての考え方とは異なる見方があることを教えられ,心がざわめいた。

 しかし,そのざわめきの本質をよく見極め消化しないうちに,また既存の概念でコントロールする日常に戻っていってしまう。「読んで理解することの限界かもしれない」と,言い訳しながら。実践を経ない理解は,身につかぬまま記憶の底で覚醒のときを待つことになる。

 本書は,ニューマン女史の2008年の著書の翻訳である。女史と訳者らは,ナースたちに新しいパラダイムへのシフトを再び熱く呼びかけている。その内容は「変容を生みだすナースの寄り添い」である。これは何度となく語られ,誰もが考えてきた看護の本質ではないか……,と思いつつページを繰れば,やはりまた心がざわめく。

 本書から私が学びつつあることを至らなさを承知で抄出してみる。「拡張する意識としての健康」という理論は,病や喪失などで望みがないとみえるどのような無...

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