医学界新聞

2009.11.30

病院広報の新時代――HISフォーラム'09


 HISフォーラム'09が10月31日,北海道厚生年金会館(札幌市)にて開催された。主催したのはNPO法人日本HIS研究センター。病院広報は医療活動の信頼性を伝え,社会との良好な関係の維持に役立つこと,また,「信頼の貯金」となり病院のリスクマネジメントにつながるという観点から,そのレベルアップのための多様な支援活動を行っている。フォーラムでは,第9回ヘルスケア情報誌コンクール(BHI賞)の表彰式と,第13回全国病院広報事例発表会・大賞選出が行われた。

社会と医療をつなぐ病院広報

福井県済生会病院の院内報「ふくい」
 今年のBHI賞最優秀賞は福井県済生会病院の院内報「ふくい」が受賞。見開き2ページで1記事が構成されたメリハリのある読みやすさと,「ホスピタリティー賞」を設け職員を表彰するなど院内の活気が伝わる記事内容が評価され,院内・院外報,ホームページなども含めた応募総数113点の頂点に立った。病院長の田中延善氏は,「職員に伝えたいことをシンプルにまとめ,読みたいと思える紙面を心がけている。それが受賞につながったのでは」と話した。

 病院広報事例発表会では,事前審査を通過した10施設がプレゼンテーションを行った。多様な取り組みが示されたなか,大賞に輝いたのは博愛会相良病院の「企業とのつながりを活かしたPR活動――企業とのコラボレーション」。同院では,女性向けの医療フォーラム開催に当たり,ホテルや複合商業施設とタイアップ。ホテル内に化粧品や美容食などのブースを設け,参加型のイベントを作り上げた。また乳がん患者会製作の「1000枚のピンクリボンキルト」の展示や,患者の闘病生活をたどった写真展などを商業施設で開催。企業にとっては自社商品や社会貢献性のPRとなり,病院にとっても病気への理解・関心が深まり,活動費用の軽減にも資する。発表した上山真智子氏は,「フォーラムを開催して,健康に関する情報を知りたいという女性の意欲を強く感じた。企業側もPRの切り口が見えたと思う。来年以降も続けていきたい」と意気込みを語った。

 最後にHIS研究センターの石田章一代表理事が,病院広報の本質とは病院と社会とのコミュニケーション活動であり,病院の「経営理念」「表現戦略」「組織文化」に秩序とメッセージ性を育むものであると総括。参加者らは,地域・患者に貢献するとともに病院にも利益をもたらす広報の実現に向けて,あらためて意欲を高めていた。

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