金原一郎記念医学医療振興財団
2009.11.16
金原一郎記念医学医療振興財団
第46回認定証(第24回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,このほど「第24回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として31名(助成総額1550万円)を選出。10月6日に,東京都文京区の医学書院にて第46回認定証贈呈式を開催した。
開会に際して,挨拶に立った金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は,医学書院の創業者・金原一郎の遺志をついで設立された本財団の概要を紹介。「研究者の方々は日ごろの努力の積み重ねによって成果を出されてきたのだと思う。このたびの受賞を機に,さらによい研究に結び付けていただきたい」と激励した。
認定証贈呈の後に,同財団理事で選考委員長の野々村禎昭氏(東大名誉教授・微生物化学研究会理事長)が祝辞を述べた。氏は,近年におけるわが国の基礎医学研究は西日本の研究者の功績が大きく,いわば「西高東低」の状態にあったことを指摘。しかし,今回の助成金対象者には東日本の研究者も多く,わが国の基礎医学研究が全国的に活性化してきていると分析した。その上で,「今後もますます研究に励んでいただきたい」と述べ,期待を示した。
続いて,受賞者を代表して松田陽子氏(日医大・助成対象「幹細胞マーカーNestinによる膵臓癌の新たな治療戦略」)が挨拶に立った。氏の研究は,神経幹細胞マーカーとして知られるNestinという蛋白質が膵臓癌細胞において発現するのを抑制することで,癌の浸潤や転移の抑制および予後の改善を目指すもの。氏は「今回の受賞によって,私たちの研究は近い将来,社会に貢献できる成果をもたらすものであると認めてもらえたように思う。医学研究の進歩と医療の発展に寄与できるよう,今後もさらに研究を進めたい」と抱負を述べた。
●金原一郎記念医学医療振興財団
第24回基礎医学医療研究助成金交付対象者および研究内容
No. | 氏名 | 所属機関(略称) | 助成対象 |
1 | 畠山鎮次 | 北大 生化学 |
グルココルチコイド受容体の活性化を制御するユビキチン化酵素の生化学的解析 |
2 | 岩本芳樹 | 信州大 統合生理学 |
がんと肥満との関連に基づいたホルモン抵抗性前立腺がんの新規治療標的分子の同定 |
3 | 立石敬介 | 東大 消化器内科学 |
NASHからの肝細胞癌発生を抑制する低分子化合物の検討 |
4 | 松田陽子 | 日本医大 病理学 |
幹細胞マーカーNestinによる膵臓癌の新たな治療戦略 |
5 | 石井 優 | 阪大 生体イメージング |
二光子励起光イメージングを駆使した生きた骨組織内での破骨細胞分化・機能の解析 |
6 | 根本知己 | 生理研 多光子顕微鏡室 |
超短光パルスレーザーを用いたin vivo断層イメージングによる破骨細胞の生理機能の分子基盤の解明 |
7 | 高瀬 敦 | 東大 腎臓再生医療学 |
ヒトiPS細胞におけるNF-κB制御による特異的分化誘導の解明 |
8 | 肥田重明 | 信州大 免疫制御学 |
システインプロテアーゼによる免疫応答の分子機構 |
9 | 匂坂敏朗 | 神戸大 生理・細胞生物学 |
神経伝達物質放出における全く新しいシナプス小胞ドッキングの役割と制御機構 |
10 | 米納浩幸 | 琉球大 泌尿器科学 |
前立腺がん造骨性骨転移形成過程における病理形態の経時的検討ならびに新規治療法の開発 |
11 | 増田茂夫 | 自治医大 再生医学 |
霊長類モデルにおける間葉系幹細胞(MSC)共移植による造血幹細胞の生着促進効果とその機序の解明 |
12 | 吉田知彦 | 千大 糖尿病・代謝・ 内分泌学 |
細胞内代謝環境とRAGEシグナルが織り成す骨リモデリング調節におけるエピジェネティクス制御機構 |
13 | 日比野浩 | 阪大 分子細胞薬理学 |
実験とin silicoモデル化による内耳蝸牛内リンパ液の高電位・髙K+の成立機構の解明と臨床医学への応用 |
14 | 橋本亮太 | 阪大 子どものこころの 分子統御機構 研究センター |
統合失調症のリスク遺伝子による病態解明研究 |
15 | 山崎勝久 | British Columbia大 微生物・免疫学 |
抗生物質の自然界における役割の解明 |
16 | 川口 寧 | 東大医科研 ウイルス学 |
ウイルス粒子成熟過程の可視化 |
17 | 小峯 起 | 東医歯大 難治研 分子神経科学 |
神経前駆細胞の多様性獲得メカニズムの解明 |
18 | 篠原正浩 | 東医歯大 分子情報伝達学 |
破骨細胞分化におけるPI3K下流シグナルの解明 |
19 | 栗崎 晃 | 産総研 器官発生工学 |
血管新生因子と繊毛細胞分化誘導因子を利用した幹細胞治療技術の開発 |
20 | 渡並優子 | 名大 分子生物学 |
RNAiライブラリーを用いた網羅的機能スクリーニングによる神経芽腫治療法の開発 |
21 | 石井浩二郎 | 阪大 染色体機能制御 |
染色体におけるセントロメア新規獲得メカニズム |
22 | 大塚稔久 | 山梨大 医工 生化学 |
神経終末アクティブゾーンと極性形成 |
23 | 柴崎忠雄 | 神戸大 細胞分子学 |
抗糖尿病薬スルホニル尿素によるEpac2シグナルの活性化 |
24 | 大村素子 | 横市大 放射線医学 |
悪性腫瘍の放射線治療感受性を腫瘍由来血漿中DNAの経時的定量によって早期判定する-腫瘍動物モデルによる検証 |
25 | 北尻真一郎 | 京大 耳鼻咽喉・頭頸部外 |
新規分子TRIOBPによるアクチン束化様式の解明と聴覚への関与 |
26 | 森川一也 | 筑波大大 微生物学 |
Staphylococcus aureus の順化原理の究明 |
27 | 石合正道 | 京大 放射線生物研 DNA損傷シグナル |
DNAダメージによるファンコニ貧血経路の活性化制御機構 |
28 | 千葉知宏 | 慶大 解剖学 |
アルツハイマー病発症におけるSTAT3仮説の展開――Tau過剰リン酸化検出系の構築とその応用 |
29 | 頼 建光 | 東医歯大 血液浄化療法 |
腎臓における新規の血圧調節機構 WNK-NCC シグナル伝達系の解析 |
30 | 船戸紀子 | 東医歯大 疾患遺伝子実験 |
軟骨細胞分化におけるbHLH型転写因子の機能解析 |
31 | 林 寿来 | 奈良医大 循環器システム 医科学 |
転写調節因子による新しい血管新生制御機構の同定と疾患における意義 |
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