医学界新聞

2009.11.09

セミナー「リハビリテーション科専門医のお仕事」開催


 平成21年度女子医学生・研修医等をサポートするための会「リハビリテーション科専門医のお仕事」が10月18日,うらかめや(長野県下諏訪町)で開催された。本セミナーは,近年,需要が高まるリハビリテーション(以下,リハ)科医について,医学生・研修医の理解を深めようと日本リハ医学会のリハ科女性専門医ネットワーク(RJN)が日本医師会との共催にて開催したもの。

疾患の治療から社会復帰までを支援

セミナー会場の様子(左側最前列が原寛美氏)
 リハ科医は,小児から高齢者までを対象とし,全身の疾患・障害の治療から家庭・社会復帰の支援を行う。具体的に行う治療として,大串幹氏(熊本大)は「骨折で骨の手術をするのは整形外科医,『足が動かない』という障害に対して,足が動くように,歩行できるように患者の生活ニーズに合わせた運動療法や装具を処方するのがリハ科医である」と語った。また,原寛美氏(相澤病院)は脳卒中を例に挙げ,「急性期では安静による廃用と闘い,早期に重点的に機能回復訓練を行い,退院後の社会復帰までを支援している」と語った。

 臨床での治療のほかに,中馬孝容氏(滋賀県立成人病センター)による脳の可塑性を用いた脳卒中麻痺治療の研究や,豊岡志保氏(国立山形病院)による地域連携パスの作成・運営についての紹介がなされた。

 小口和代氏(刈谷豊田総合病院)は,リハ科医の日常生活を紹介し,「できるだけ訓練室に出て療法士と一緒に患者をみる。退院後の生活を考えながら患者と共に目標を設定していく。リハ科医に必要なのは,患者に寄り添うパートナーシップ,多職種チームをまとめるリーダーシップ」と述べた。

 浅見豊子氏(佐賀大)は,「リハ科では患者の生活が対象となり,育児や介護などの経験もキャリアにプラスになる。職場も急性期・回復期病院,診療所,行政などにわたり,自分に合ったライフスタイルを選べるため女性にもお勧めしたい」と語った。

 質疑応答では参加者の質問に対して,講師らが仕事と家庭両立のためのアドバイスを行ったり,リハ科医になるために経験したほうがよい他診療科として,脳卒中急性期を経験できる救急,脳神経外科のほか,神経内科,整形外科,小児科,内科などを挙げた。なお,全国のリハ科研修施設については日本リハ医学会ホームページを参照されたい。

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