医学界新聞

寄稿

2009.11.02

【寄稿】

臨床検査技師資格制度の日米比較

坂本秀生(神戸常盤大学保健科学部 医療検査学科・教授)


国によって異なる臨床検査業務

 日本の臨床検査技師の業務は,検体検査と病理組織検査以外に生理検査と採血業務を含んでいる。一方,米国,カナダ,英国などでは臨床検査業務に生理検査や採血業務は含まれていない。これらの国々では,ほかにも日本の臨床検査技師制度とは異なる点がいくつかある。

 私は計7年間,ハーバード大学/マサチューセッツ総合病院で過ごしたが,日本の臨床検査技師資格を所持し,妻も同院の輸血部で臨床検査技師として勤務していたことから興味を持ち,米国の臨床検査技師制度について調査していた。また現在,後述するASCPi(ASCP international)のJapanese Advisory Boardも務めている。本稿では,臨床検査技師資格制度の日米比較について紹介する。

米国の多くの州では臨床検査技師免許が存在しない

 日本では,臨床検査技師免許の取得には国家試験が課せられるが,米国では州単位での試験制度になっており,連邦レベルでの免許制度は存在しない。さらに,医師免許ではすべての州で試験が必須なのに対し,臨床検査技師免許は図に示したような13州のみでしか,試験が課せられない。残りの州・地域では非営利団体である,American Association for Clinical Pathology(ASCP),National Credentialing Agency for laboratory personnel(NCA),American Medical Technologists(AMT),American Association of Bioanalysts(AAB)のいずれかの認証試験に合格することで,臨床検査技師承認(Certificate)を行っている。

 米国で臨床検査技師免許が必要な州
1 California, 2 Florida, 3 Georgia, 4 Hawaii, 5 Louisiana, 6 Montana, 7 Nevada, 8 New York, 9 North Dakota, 10 Oregon, 11 Rhode Island, 12 Tennessee, 13 West Virginia。

 いずれの団体においても受験にあたって,National Accrediting Agency for Clinical Laboratory Sciences(NAACLS)もしくはCommission on Accreditation of Allied Health Education Programs(CAAHEP)が認定した...

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