医学界新聞

2009.09.14

プライマリ・ケア関連学会連合学術会議開催


 第32回日本プライマリ・ケア学会(会頭=北大・前沢政次氏),第24回日本家庭医療学会(会長=弓削メディカルクリニック・雨森正記氏),日本総合診療医学会(企画参加)の3学会合同による2009年プライマリ・ケア関連学会連合学術会議が,8月22-23日に国立京都国際会館(京都市)にて開催された。本会議では,日本プライマリ・ケア学会,日本家庭医療学会のそれぞれの総会で3学会の合併が決議され,2010年4月「日本プライマリ・ケア連合学会」(仮称)を設立することが発表された。本紙では,そのなかから一部のもようをお届けする。


シンポジウムのもよう
 地域医療を守る上で総合医・家庭医の重要性が議論されるなか,医師の初期治療を担う能力をどのように担保していくかが課題となっている。シンポジウム「地域医療の充実をめざした総合医・家庭医の認定制度をめぐって」(司会=前沢氏)では,5人の演者が,総合医・家庭医の認定制度の課題と在り方について発言した。

 まず,基調講演として日本医学会の立場から高久史麿氏(自治医大)が登壇。医師不足問題や医学教育における問題点を挙げ,あらためてプライマリ・ケア医育成の重要性を主張した。また専門医制度について,専門医の知識・技術の評価は第三者機関によるのが望ましいとし,特定専門医が所属する施設への診療報酬上の評価も必要であると提言した。

 日本家庭医療学会からは山田隆司氏(区立台東病院)が,一次医療で必要とされる診療の質を提示した上で,日本版家庭医の実現に向けて開業医のレベルを上げていくことが大事と主張した。また,そのためには一次医療を担う医師の生涯学習が重要との見解を示した。

ロールプレイを交えたワークショップも3学会の特徴だ
 小泉俊三氏(佐賀大)は日本総合診療医学会の立場から,“病院勤務の”地域総合医という新しい総合医・家庭医の在り方を提示。医療再生への総合医の役割として,診療と地域との連帯を通じ幅広く健康問題に対応可能,病院で急性期入院診療を担える,ケアの向上に寄与,の3点を挙げ,このための認定制度として「病院総合診療専門医」の創設を提案した。

 また,青沼孝徳氏(全国国民健康保険診療施設協議会)は,同協議会が取り組んできた「地域包括医療・ケア認定制度」や「国保直診ヒューマンプラン」を紹介。地域では総合医が求められているとした上で,「地域医療」の教育の場を提供し医師を育てていく必要があると強調した。

 最後に特別発言として,渡辺俊介氏(日本経済新聞社)がマスコミの立場から意見を述べた。今後の在り方として,適切な診療を行える総合医・家庭医の認定要件の整備を要望。また,国民に対し医療者側が具体的な提案をしていくことが大事と提言した。

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