医学界新聞

2009.05.18

第1回日本不安障害学会開催


 第1回日本不安障害学会創立記念総会および学術大会が,3月27-29日,貝谷久宣会長(和楽会パニック障害研究センター)のもと,早大国際会議場・リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)にて開催された。不安障害は精神障害の中で最も有病率が高く,うつ病の前駆となることも多い。慢性化する場合も多々あることから早期治療が望まれるが,他の精神障害に比べ研究が遅れており,その促進が課題となっていた。その意味で日本不安障害学会の設立は,非常に意義のあるものといえる。

 第1回総会となった今回は,パニック障害の生みの親とも称されるドナルド・クライン氏(コロンビア大精神科名誉教授)を招聘し,「パニック障害概念の誕生と今後」というテーマでプレナリーレクチャーが催された。また,ショパン・コンクール優勝のピアニストでもあるリチャード・コガン氏(コーネル大ワール医大)による,シューマンのピアノ曲を病跡学的見地から分析し・演奏する特別講演など,新学会のスタートにふさわしいプログラムがそろった。

 会長講演「不安・抑うつ発作――見過されていた重要な症状」では,貝谷氏が自ら命名した,理由なく流涙し,その前後に抑うつ,不安,絶望などの情動が表れる「不安・抑うつ発作(ADF)」の臨床的意義について語った。氏は,臨床的な問題行動はADFの対処行動として起こる場合があること,またADFの長期的な潜在が非定型うつ病につながりやすいことなどを報告。患者自らがADFを訴えることは少ないため,治療者がしっかりとその有無を確認し,積極的な介入をしていくことが必要であると主張した。また,ミニシンポジウム「若手による研究最前線:現状と課題」(座長=名市大・古川壽亮氏)では,新しい学会らしい試みとして,卒後10-15年の若手研究者たちにより,自らが行っている研究に行き着くまでの道のりと,現在の試行錯誤の模様が語られ,活発な議論が行われた。

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