医学界新聞

2009.04.20

笑顔で楽しく転倒予防運動

ふまねっと体験・インストラクター3級養成講習開催


 ふまねっと体験講習およびインストラクター3級養成講習が3月7-8日,井之頭病院(東京都三鷹市)において行われた。

 短時間の運動を楽しく行うだけで大きな歩行改善効果が得られる「ふまねっと運動」を患者の転倒予防に役立てようと,病院や介護施設などから多くの医療従事者が本講習に参加した。

ふまねっと運動とは?

 ふまねっと運動とは,50cm四方の大きなマス目でできた網を床に置き,その網を踏まないように歩く運動。この運動は足の不自由なお年寄りや身体障害者にとって,歩行改善の面で有効であることがわかってきている。

複数人での高難度の動きだが,みな笑顔。
 ふまねっとは北海道生まれ。釧路市を中心に行われた健康教室では,1万人もの参加者を集めるなど,評判は広まってきている。人材養成も始まっており,現在,北海道の市町村に300人の「ふまねっとサポーター」がおり,1-3級に分かれるインストラクターも全国で300人に増加。ふまねっとは,今大きく広まりつつある。

楽しく,しかも大きな効果

 従来の運動は,筋肉を酷使し,体に大きな負荷がかかるものが多かった。体力の低下がみられるお年寄りや身体障害者にとって,それは大変な苦痛であり,続けていくことさえ難しい。

 ところが,ふまねっとは苦しくない。網をまたぎ越すことに集中して歩くだけでよいのである。車いす使用の高齢者が補助を受けつつ歩いても,みるみる足取りが変わっていく。

 さらに,従来の運動は,医療職者の補助はあっても一人で行う孤独なものが多かったが,ふまねっとは「みんなで」できる。見事に網を踏まずに歩ききることができれば職員や他の参加者が拍手で祝福し,失敗しても明るい励ましの言葉がいくつも飛んでくる。ここが大きなポイントのようだ。

北澤一利氏
 そして,大きな効果も期待できる。週に1度の運動でも,早くも2回目には劇的に歩き方が変わる人もいる。その理由は,この運動がバランスをつかさどる中枢神経機能を鍛えているためではないかと考えられている。網を踏まないように注意して,決められた歩き方を覚えて歩くことが,脳への刺激になるようだ。

 考案者の北澤一利氏(北海道教育大)は,「従来の運動はつらいだけで,そんな運動を勧める医療者もつらい。楽しくて効果がすぐに現れる運動が必要だと思った」と,考案した経緯を語った。

 講習会への参加者も,最初は硬い表情で網の上を歩いていたが,次第に笑顔が増え,大きな歓声が会場を包んでいた。

参加者の声
・今までは,歩行能力の回復・向上のための訓練は,付き添って歩くくらいしかなかったので,新しくて興味深い。
・週1でも効果があると聞き,そのほかの業務との両立ができてよい。
・従来の一人で行う運動は退屈だった。みんなでできるところがよい。

<連絡先>地域健康づくり支援会ワンツースリー(http://www.1to3.jp

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