金原一郎記念医学医療振興財団
2009.04.13
金原一郎記念医学医療振興財団
第45回認定証(第23回研究交流助成金および留学生受入助成金)贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,このほど「第23回研究交流助成金・第23回留学生受入助成金」の交付対象者として22名を選出し,さる3月4日に,東京都文京区の医学書院会議室において第45回認定証贈呈式を開催した。
同財団は医学書院創業者金原一郎氏の遺志を継ぎ,基礎医学の振興を目的として1986年に設立された。助成事業として(1)基礎医学医療研究助成金,(2)研究交流助成金,(3)留学生受入助成金,(4)研究出版助成金,を行っている。下期である今回は,研究交流および留学生受入に対する助成が行われた。
開会に際し,金原優同財団常任理事(医学書院社長)は,わが国の医学研究がこれまでの海外の成果から学ぶことが多かった状態から,研究成果を発信していく役割を期待されるまでに発展していることを指摘。「海外での学びを日本に持ち帰り,国内の医学を支え,世界の医学をさらにリードしていけるように励んでいただきたい」と祝辞を述べた。
認定証贈呈の後,選考委員長を務めた野々村禎昭氏(東大名誉教授・微生物科学研究会理事長)が「研究交流助成金は,皆さんが自分の力で得たもの。海外の医学を自由に学べるこの機会を,大いに活かしてほしい」と激励した。また,留学生の選考について,「今回もオーストラリアやロシアなど14か国の人から多くの応募があり,みなとてもすばらしい研究だった。選ばれた3名の方には,今後も大いに学んでいただき,母国の医学の発展につなげてほしい」と今後の研究に期待を示した。
続いて交付対象者を代表して温川恭至氏(国立がんセンター研)が挨拶に立ち,選考委員ならびに財団関係者に謝意を述べた。温川氏は子宮頸癌発症との強いかかわりが示唆されているヒトパピローマウイルス(HPV)の発癌メカニズムを研究している。HPV感染による子宮頸癌発症では,HPVが持つE6,E7という二つの遺伝子が大きな鍵を握っている。E6が細胞の正常な分化を阻害し,異常増殖へ誘導するとき,癌抑制タンパク質として有名なp53の分解が促進される。このp53の不活化が,発生学上極めて重要な遺伝子であるNotch1の転写活性化の抑制につながっていることなどが氏らの研究によって明らかになった。
今回の助成金は,この成果の発表を目的とした第25回国際パピローマウイルス会議への参加に対して交付された。氏は「生命現象の異常の原因を調べることは,その異常が引き起こす病気の治療につながり,さらには老化などの生命の根本的な謎の解明のヒントになる。今回の助成を一つの糧に,さらに研究に励みたい」と抱負を語った。
●金原一郎記念医学医療振興財団
第23回基礎医学
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