医学界新聞

2009.02.23

世界対がんデー公開シンポジウム開催

――子宮頸がん征圧のために何ができるのか


 がんに関する知識の普及や対がん活動の育成・患者支援を行う国際対がん連合(UICC)が世界対がんデーと定める2月4日,「子宮頸がん征圧を目指して」と題した公開シンポジウムが,東大・安田講堂にて開催された。

 わが国では,年間約1万2000人が子宮頸がんに罹患し,約3500人が死亡しているとされる。特に近年20代,30代の罹患者数が急増し,予防の必要性が叫ばれている。子宮頸がんは,発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)の持続的な感染が主な原因とされる。このHPVを世界で初めて発見したハラルド・ツア・ハウゼン氏(ドイツ癌研究センター)は,昨年ノーベル医学生理学賞を受賞。この発見によってワクチンの開発が急速に進み,子宮頸がんの発症者および死亡者数を約7割減少できると推計されている。現在ワクチンは世界109か国で認可され,うち20か国は医療制度における大規模導入を正式に推奨している。わが国は大幅に遅れ,今年度中にようやく認可される見通しだ。

 しかしながら,わが国における公費負担によるワクチン接種の大規模導入については多くの困難が予想される。1つは費用の問題。現在想定されているワクチン接種費用は1コース(3回接種)3万6000円であり,医療費削減の方向にあるわが国では容易ではない。これについて今野良氏(自治医大さいたま医療センター)は,ワクチンや検診など予防医学を導入することで無駄な医療費支出を抑えられると述べた。その上で,細胞診とHPV検査の併用による検診精度の向上によって検診間隔をあけることが可能になり,さらにワクチン接種による予防で治療費等のコスト削減が期待できると主張。ワクチン接種を公費負担したとしても,費用削減効果が期待できると...

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