医学界新聞

2009.01.26

第28回日本看護科学学会開催


 第28回日本看護科学学会が2008年12月13-14日,安酸史子会長(福岡県立大)のもと福岡国際会議場(福岡県福岡市)にて開催された。メインテーマは「ケアリング・サイクルと看護科学」。ケアリング科学の大家であるJean Watson氏(University of Colorado Denver)による基調講演をはじめ,ケアリング文化の形成・伝承についてのシンポジウム,リレー講演などが行われ,ケアリングについて再考し,理解を深める機会となった。本紙では,初日に開催されたシンポジウムと,2日目に開催されたランチョンセミナーのもようを紹介する。


教員はケアリングの紡ぎ手であり,モデルとなる存在

 シンポジウム「教育現場におけるケアリング文化の伝承」(座長=九大・大池美也子氏,国際医療福祉大・小田正枝氏)では,教育現場におけるケアリング文化の醸成について,活発な議論が交わされた。

 佐々木幾美氏(日赤看護大)は,ケアリングを“人間が生きていく上での本質的な力”と定義し,相互関係によって成立すると指摘。その上で,ケアリング能力の成長途上にある学生にとって,ケアされる経験が必要不可欠だと述べるとともに,「ケアする者」として成熟したモデルとなる教師の存在の重要性を語った。

 野並葉子氏(兵庫県立大)は,近年電子カルテの導入に伴い臨床現場におけるコミュニケーション力が低下し,ケアリング文化が希薄になっていると言及。ケアリング文化を伝承するには,看護師同士が自立を助け合い,また患者を通して会話することなどによって看...

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