わが国の在宅医療とフランスからの示唆(真野俊樹)
寄稿
2009.01.19
【視点】
わが国の在宅医療とフランスからの示唆
真野俊樹(多摩大学統合リスクマネジメント研究所教授・医療経済学)
フランスと日本の医療制度には,極めて多くの共通点がある。医師は自由開業制であり,患者は受診におけるフリーアクセス権を持つ。また,国民皆保険のもと豊富な種類の保険があり,保険会社・医療・被保険者は良好な関係がみられる。このような共通点を持つことから,厚生労働省が範とすることもあるフランスでの在宅医療を眺めてみよう。
フランスにおける在宅医療の柱はHAD(在宅医療協会)による,高度な在宅医療である。HADのオフィスは病院内に置かれることもある。HAD,“Hospitalisation a Domicile”とはフランス語で「自宅での入院」すなわち在宅入院の意味である。この在宅入院はさまざまな疾患を持つ急性期の患者を,HADの医師等がコーディネートして多職種による最善の医療を受けさせるというもので,入院に数えられている。
すなわち,フランスでは,在宅入院という概念があるのである。入院で行うことを在宅で行うという概念である。代表的なものは抗がん剤による化学療法...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
対談・座談会 2025.12.09
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
対談・座談会 2025.12.09
-
厳しさや大量の課題は本当に必要か?
教育現場の「当たり前」を問い直す対談・座談会 2025.12.09
最新の記事
-
厳しさや大量の課題は本当に必要か?
教育現場の「当たり前」を問い直す対談・座談会 2025.12.09
-
対談・座談会 2025.12.09
-
対談・座談会 2025.12.09
-
インタビュー 2025.12.09
-
ロボット,AIとARが拓く看護・在宅ケア
安全はテクノロジーに,安心は人に寄稿 2025.12.09
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。