医学界新聞

2008.11.10

金原一郎記念医学医療振興財団
第44回認定証(第23回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催


 金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,このほど「第23回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として34名(助成総額1475万円)を選出。10月6日に,東京都文京区の医学書院にて第44回認定証贈呈式を開催した(助成対象者および研究内容)。

 開会に際して,挨拶に立った金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は,医学書院の創業者・金原一郎の遺志をついで設立された本財団の概要を紹介。「ご協力いただいた方々,ならびに当財団を代表して,皆さまの研究がますます発展されるよう,お祈り申し上げたい」と激励した。

 認定証贈呈の後に,同財団理事で選考委員長の野々村禎昭氏(東大名誉教授・(財)微生物化学研究会理事長)が祝辞を述べた。まず,世界的な経済情勢の悪化による医学研究費の削減が懸念されるなかで,本財団の果たすべき役割を紹介。また,今回の助成応募には医学部以外からの医学・医療に対するアプローチが多かったことに対して,「皆さまの研究がさらに発展し,医学が進歩していくことを願っている」と,新しい医学研究の流れに期待を寄せた。

 続いて,受賞者を代表して平山順氏(東医歯大・助成対象「概日リズム制御異常による脂質代謝異常の発症の分子機構の解明」)が挨拶に立った。概日リズムは,睡眠と覚醒のように周期的に繰り返される現象を指し,周期性の制御に対する遺伝子の関与が示唆されたのは最近のことだという。氏は「私の研究が助成対象になったのは,貴財団が将来性やテーマ性を含んだ幅広い選考基準に基づく助成選考をしてくださったおかげ」と感謝の言葉を述べた後,「今後も研究を進め,医学研究の進歩と国民の健康に貢献できるように努力していきたい」と抱負を語った。

●金原一郎記念医学医療振興財団
 第23回基礎医学医療研究助成金交付対象者および研究内容

No. 氏名 所属機関(略称) 助成対象
1 熊ノ郷淳 阪大微生物研
感染病態
破骨細胞分化におけるセマフォリンシグナルの役割の解明
2 木下専 京大
生化学・細胞生物
肺線維症と肝線維症に共通する増悪因子と抑制因子の網羅的探索と検証
3 平山順 医歯大難治研
発生再生生物
概日リズム制御異常による脂質代謝異常の発症の分子機構の解明
4 古谷和春 阪大
分子・細胞薬理
神経細胞における内向き整流性カリウムイオンチャネルの時空間ダイナミクス
5 高柳広 医歯大
分子情報伝達
骨芽細胞を制御する新規遺伝子の同定と機能解析
6 竹内純 東工大
グローバルエッジ
心循環器
エピジェネティックシグナルによる心筋症発症の分子機能
7 鄒鶤 岩手医大

神経科
プレセニリンのもつ膜蛋白質輸送機能の分子機構解析
8 多鹿友喜 群大
機能形態
高い筋分化能をもつ筋芽細胞を選別する方法の開発
9 猪原匡史 京大病院
神経内
Parkinタンパク質の機能欠失によるパーキンソン病発症機序の解明
10 島田緑 名市大
細胞

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