医学界新聞

2008.10.27

第14回白壁賞,第33回村上記念『胃と腸』賞授賞式開催


 2008年9月17日,笹川記念会館国際会議場(東京都港区)で行われた早期胃癌研究会の席上,第14回白壁賞と第33回村上記念『胃と腸』賞の授賞式が行われた。第14回白壁賞は浜田勉氏(社会保険中央総合病院内科,現・東京都保健医療公社東部地域病院)・他「Crohn病における食道病変」(胃と腸42:403-416, 2007)に,第33回村上記念『胃と腸』賞は八尾隆史氏(九州大学形態機能病理,現・順天堂大学)・他「非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)起因性腸病変の臨床病理学的特徴と病態」(胃と腸42:1691-1700, 2007)に贈られた。

白壁賞は浜田勉氏らに

 白壁賞は,故・白壁彦夫氏の業績をたたえ,消化管の形態・診断学の進歩と普及に寄与した論文に贈られる。選考小委員会を代表して平田一郎氏(藤田保衛大)は,「Crohn病における食道病変23例を対象に,美しい画像,特にきれいなX線写真とともにその臨床像を解析している。症例数の少ないCrohn病食道病変の実態を明らかにし,その診断に寄与する論文として評価された」と選考理由を述べた。

 受賞者代表として,浜田氏は「私が入局したときの教授が白壁先生だった。先生のお名前のついた賞をいただき,先生が生きておられたら喜んでもらえたと思う」と謝意を述べた。その上で白壁氏に教授された,「論文を書く上での2つの注意」として“症例の選定に注意し,間違いのない症例だけを選ぶこと”,“先人の研究した文献を丹念に読み,先人の言ったことを尊重し,それを踏まえて考察を書くこと”を紹介した。

『胃と腸』賞は八尾隆史氏らに

 村上記念『胃と腸』賞は,故・村上忠重氏の業績をたたえ,消化器,特に消化管疾患の病態解明に寄与した論文に贈られる。選考小委員会代表の平田氏は「32例のNSAID起因性腸病変を組織学的特徴により分類し,それをもとに病変発生機序とその病態を類推したもので,今後ますます増加するNSAID起因性消化管病変の診断治療や予防につながる基礎的研究として評価された」と選考理由を述べた。

 受賞者を代表して八尾氏は「本論文は,これまで病理学的検索が不十分であったNSAID腸炎の貴重な症例を集積することができた九州大学病態機能内科およびその関連施設の臨床力のすばらしさの反映であり,それに病理学的解析を加えたという臨床と病理の総合力の結果である。長年にわたり臨床とともに病理学を続けてきた産物だろう。その基本は,この早期胃癌研究会に代表されるように,症例1例1例を丹念に検索することの集積だと思う」と述べ,「今後も1例1例を大切に臨床とともに精進したい」と挨拶した。

*授賞式の様子は『胃と腸』11月号にも掲載予定です。

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