MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2008.08.11
MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
ギャーリー・キールホフナー 著
山田 孝 監訳
石井 良和,竹原 敦,村田 和香,山田 孝 訳
《評 者》鎌田 樹寛(神奈川県立保健福祉大講師・作業療法学)
著者が,作業療法のために“作業”を行った1冊
邦題『作業療法の理論』(以下,本書)が初版として出版されたのが1993年5月,あれから15年ぶりに原書第3版が翻訳され刊行された。本書は,人間作業モデルで知られるキールホフナー博士(以下,著者)によって書かれている。内容は,大きく4部から構成されている。第1部(第1-4章)は,主に作業療法実践における理論の意味や定義の説明(知識の組織化や利用),パラダイム概念を用いた米国における作業療法の学際的発展としての歴史分析(知識の発展,現代のパラダイム)がなされている。加えて,現在の作業療法に影響を与えた人物(9名)の解説がコラム形式で挿入されていて,歴史的背景を知るに役立つ。本書の主要部分である第2部(第5-13章)では,この専門職が用いている7つの概念実践モデル(生体力学モデル,カナダ作業遂行モデル,認知能力障害モデル,認知-知覚モデル,人間作業モデル,運動コントロールモデル,感覚統合モデル)の概念的基礎についての説明と比較検討や考察が,各々同じ形式でなされている。また,まとめとして要約や表を用いて重要概念や用語が整理されている。第3部(第14-17章)は,関連知識の紹介として,医学モデル,能力障害研究,個人内・個人間の概念(精神分析)が挙げられている。初版では,この内容については一切触れられておらず新たな記述であるが,作業療法にとって,代表的な関連知識の整理として役立つものと思われる。最後に第4部(第1...
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