医学界新聞

2008.06.23



愛知県における出張研修の取り組み

都築三幸(愛知県健康福祉部健康担当局医務国保課看護対策グループ主査)


 愛知県においては,看護職員充足率が92.3-98.0%(2006年-2010年)と低く,看護職員の退職率は14.5%(2004年度)にのぼる。また,病床数200床未満の病院では,8割以上が看護職員の教育担当者を有しておらず,5割以上が教育プログラムを有していなかった(2005年12月愛知県調査)。

 そこで,院内教育体制の整備が困難な病院(主に200床未満)に対し,看護職員に対する院内教育を支援することで,看護の知識や技術等に不安がある新人看護職員の早期離職を防止し定着を図ることを目的に,看護師4名で2006年4月より本事業を開始した。主な事業内容は,(1)看護職員のための出張研修,(2)院内教育計画に関する出張相談等である。研修は講義・演習・グループワーク等の組み合わせで行われ,テーマは「看護倫理」「看護過程と看護記録」など多岐にわたる。出張相談の回数制限は設けていない。出張研修,出張相談ともに申し込みを受けると病院に出向き,病院が何を求めているかを把握することから始める。事業開始以降2007年度末までに,出張研修は33施設で92回,出張相談は9施設で14回行い,出張研修の受講者は延べ1200名以上に及ぶ。

 200床未満の病院の多くは,新卒看護職員は少なく中途採用が多い。また,院内教育体制が未整備の病院が多いため,受講生は新卒からベテラン看護職員,保健師や助産師まで幅広く,施設のニーズも多様である。しかし,年度末調査では,2007年度に出張研修を実施した施設の退職率は,27施設中17施設(63.0%)で低下し,新卒看護職員では,採用者のあった11施設中6施設(54.5%)で低下していた。また,「学習会や研修等への参加人数が増えた」「マニュアルの作成・見直しに取り組んでいる」等,施設内の変化が現れたり,受講者においては,「自己の課題が明らかになった」「患者・家族への対応が丁寧になった」等の変化が現れていた。

 看護職員の定着を図るためには,新卒や中途採用者の教育の充実とともに,新卒看護職員等の指導に直接関わる看護職員の教育も欠かせない。施設の多様なニーズに応じて中堅看護師や管理者層も含めたオーダーメードの支援を行うことが今後の課題である。