MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2008.06.16
MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
福井 次矢,奈良 信雄 編
《評 者》永井 良三(東大大学院教授・循環器内科学)
内科学を動的座標からみる内科診断学
内科診断学は臨床実習の最初の段階で学ぶ重要なコースである。多くの臨床医にとって,内科診断学が始まったときの緊張感は,一生の思い出となるものであり,それだけに優れた教科書との出会いは重要である。
内科学が専門分化するなかで,患者の全体像を把握して,個別に対応することは決して容易ではない。特に大学病院をはじめとして大規模な病院では臓器別診療体制がとられた結果,内科学全体を俯瞰した指導が困難になりつつある。
近年,患者中心の医療が叫ばれ,EBMが大きなインパクトをもたらしたことを考慮すると,新しいスタイルの内科診断学のテキストが求められてきた。内科診断学の教育の在り方は,個々の学生だけでなく,指導者にとっても内科学における分化と統合をどのように進めるかという重要な課題である。
本書は福井次矢聖路加国際病院長と奈良信雄東京医科歯科大学教授の編集によるもので,2000年に初版が刊行され,大変好評であった。豊富な臨床と教育の経験をもつ執筆陣によることもその理由と思われる。今回,読者からの意見や指摘を取り入れて改訂された。改訂版では記載をより系統的にするとともに,画像診断に関する情報が追加された。全体は4章から構成され,それぞれ「I診断の考え方」「II診察の進め方」「III症候編」「IV疾患編」に分けられている。1200ページと大部であるが,患者と対面した状態を想定し,臨床現場のロジックで記載されているために,どこからでも読むことができ,退屈しない。
内科学の教科書は病因論から始まり疾患の体系を記述する,いわば静止座標系からみた内科学である。一方,内科診断学は動的座標系からの内科学である。疾患の考え方や内科学の在り方だけでなく,患者との関係も大きく変化する。新しい時代の教科書として,学生だけでなくベテランの臨床医や医学教育者に推薦したい好著である。
B5・頁1,328 定価9...
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