医学界新聞

2008.05.12



第26回臨床研修研究会開催


 第26回臨床研修研究会が4月5日,国立京都国際会館(京都市)において開催された。今回のテーマは「臨床研修制度の行方」。指導医と研修医あわせて計7名が演者となったシンポジウム「制度を守る良質なプログラム」(座長=武蔵野赤十字病院・日下隼人氏,京都第一赤十字病院・池田栄人氏)のもようを報告する。

研修医と指導医のモチベーション

 後期研修医らは2年間の研修を振り返り,「初期対応がある程度できるようになった」「後期にスムーズに移行することができた」「院内他科や高次医療機関に紹介する際,前もって必要なことがわかるようになった」など,制度に対する肯定的評価が目立った。病院選びについては「1人ではなく,各科に満遍なく情熱ある指導医がいるかが大事」という意見があり,指導医の側からも平出敦氏(京大)が,指導医を支援できる人材の育成が急務であるとの見方を示した。

 また,地方の中規模病院で初期研修を行った後期研修医は「病院選びは思ったほど重要ではないのでは」と指摘。「2年間通してのモチベーションの維持が意外と難しい」と率直な感想を述べた。モチベーションの維持についてはこのほかにも,「研修の質が個々人の目的意識に大きく左右される危険性がある」という研修医側の問題や,指導医やコメディカルなど受け入れ側の問題点を指摘する意見も出された。

 総合討論では,福岡敏雄氏(倉敷中央病院)が「専門研修に直接つながらないローテートでいかにモチベーションを維持できるかがカギ」としたが,社会人入学を経た研修医は「モチベーションが下がる時期もあっていい」「目標を失わない程度の回り道も大事」と,自らの経験を踏まえて語った。

 本研究会ではこのほか,「偏在を検証する」と題するシンポジウムが組まれたほか,恒例の厚労省・文科省との協議では,両省庁の医学教育担当者を交え,臨床研修制度の見直しに関する質疑も行われた。

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