医学界新聞

2008.04.28



患者参加型医療の実現をめざして
第6回日本予防医学リスクマネージメント学会開催


 第6回日本予防医学リスクマネージメント学会が3月18-19日の両日,山口建会長(静岡県立静岡がんセンター)のもと,静岡県三島市の東レ総合研修センターにて開催された。「患者参加型医療の推進に向けて」をメインテーマとした今回は,時に対立的構図が強調されがちな患者と医療者の関係をもう一度見直し,患者とともによりよい医療をめざすための示唆に富んだ内容となった。


“寄り添う医療”の実現をめざす

 会長講演「がん医療の現場でQuality Improvementを考える――患者参加型医療への対応」で山口氏は,“医療崩壊”と言われる現在,リスクマネージメントが重要な役割を果たしていると述べた。そして,最善の医療とは「病気の克服,症状の緩和」「心のケア」「自分(患者)の暮らしを尊重する」ことであり,医療者と患者・家族の協働作業であるとした。

 また,インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンなどは,慢性疾患としてのがんを中心に進められてきたが,こういった“患者参加”というリソースを医療に取り入れることで,リスクマネージメントがより進むという手応えを示した。そのうえで,静岡がんセンターの「Quality Improvement」の考え方と,患者・家族と協働するために構築した体制を紹介。患者の苦情クレームや相談を受け,問題を整理して専門職に情報提供する“がんよろず相談所”,医療安全にかかわる情報収集や対応にあたる“Risk Management・Quality Control室”,患者用図書館など,各部門の連携や,患者参加を実現するためのさまざまな仕掛けが医療の充実に貢献していると述べた。

 さらに,こういった病院の仕組みやその改善にまで“患者参加”を実現させるためには,施設管理者の理解を得ることが重要課題であると強調。これからは患者を中心とした,多職種チーム医療,ひいては“寄り添う医...

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