医学界新聞


研修分野・期間など大枠変わらず,中長期的な検証を提言

2007.12.10

 

臨床研修制度の見直し案固まる

研修分野・期間など大枠変わらず,中長期的な検証を提言


 臨床研修に関する省令(2002年施行)では「この省令の施行後5年以内に,この省令の規定について所要の検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とされている。医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)ではこの規定に基づき昨年12月から議論を重ねていたが,11月19日に「医師臨床研修制度に係る報告書(案)」を厚労省HP上に公表した。パブリックコメントの募集を経て,まもなく報告書が取りまとめられる予定だ。「報告書(案)」の要点を以下に紹介する。

◆研修プログラムの改善

 研修分野やその期間については「現行の方式を継続することが妥当」とする一方,研修修了者に対する中長期的な効果については「現時点で評価することは困難」であり,今後の検証が必要とした。また,プログラム作成や指導体制の確保が柔軟に行えるよう,当初の12か月においても必修科目(小児科,産婦人科,精神科,地域保健・医療)の研修を「一定期間に限って可能とするように変更することが実情に合っている」と指摘した。

◆臨床研修の到達目標の改善

 「到達目標には質的な評価についての言及がない」との意見もあったが,質的評価は「医療現場で指導医が判断する以上の方法はない」との判断から,指導医ガイドラインや退院サマリーを活用するなど各病院の自助努力を求めた。また,医学の進歩や医学部教育の改善に応じて,適時適切に到達目標を改善するシステムの構築を提言した。

◆臨床研修病院の体制等の充実

 「医学部卒業生に対し研修医の募集定員が過剰である」との指摘を受け,研修医の地域ごとのバランスを配慮しつつ「その総数について調整すべき」とした。具体的には,医師が集中している「地域」(素案段階での「都道府県」から修正)の臨床研修病院や大学病院に対し,募集定員減の要請や増員の留保,あるいは当該地域の研修病院の新規指定の留保などの方策を挙げた。ただ,個別の医療機関の募集定員の調整にあたっては慎重を期する旨も記されている。

 また,現行では「研修協力施設も併せて考慮すること」とされている「必要な診療科の確保,救急医療の提供,臨床病理検討会開催」などは,臨床研修病院に限定する考えが示された。

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