医学界新聞


突然死から“いのち”を守るために

2007.10.29

 

突然死から“いのち”を守るために

第1回日本循環器学会プレスセミナー開催


 第1回日本循環器学会プレスセミナーが10月10日,大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)にて開催された。記念すべき第1回のテーマは「心肺蘇生のための新たなる展開――日本における突然死から“いのち”を守ろう」。日本において,救急隊が心肺蘇生法(CPR)を施行した心臓性心停止は年間10万2704件(2005年)。そのうち,一般市民が目撃した心臓性心停止は1万8680件である。心肺蘇生法の効果を高めるためには,迅速な(1)通報,(2)応急手当,(3)除細動手当て,(4)医療処置,の「救命の連鎖」が不可欠だ。今回は,心肺蘇生法やAEDに関する信頼性の高い情報を発信し,「命の教育」を市民に広げていくために企画された。


 冒頭では,日本循環器学会理事長の山口徹氏(虎の門病院)が,30以上にのぼる学会独自のガイドラインや,約1万人の循環器専門医の名簿をHPで公開する取り組みを始めていることを紹介。「今回のプレスセミナーも,“ひらかれた学会”に向けた社会貢献活動の一環」と挨拶した。

 続いて,学会の心肺蘇生法委員会委員長である笠貫宏氏(東女医大)の座長のもと,長尾健(日大),野々木宏(国循),高山守正(日医大),三田村英雄(東京都済生会中央病院)の各氏が演者を務めた。

胸骨圧迫のみCPR(口対口呼吸なし)で十分な効果

 一般市民によるCPR施行率は,どこの国でも2-3割以下で,残りの7-8割は救急隊が駆けつけるまで放置されているという。なぜ救助者はCPRを実施しないのか。長尾氏はその理由として「口対口人工呼吸を実施したくない」,「CPRの手法が複雑でできない」の2点を指摘。ところが氏らの研究によって,「胸骨圧迫心臓マッサージのみのCPR」は「胸骨圧迫心臓マッサージ+人工呼吸のCPR」と同程度かそれ以上の効果があることが明らかになりつつある。

 このシンプルな蘇生法は国際的にも注目されており,201...

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