クリニカルパス教育セミナーが開催される
「医療安全とクリニカルパス」をテーマに
2007.07.02
「医療安全とクリニカルパス」をテーマに
クリニカルパス教育セミナーが開催される
2007年クリニカルパス教育セミナー「医療安全とクリニカルパス」(主催=日本クリニカルパス学会・医学書院)が,5月29日に東京(広尾ホール),6月9日に大阪(御堂会館),同30日に福岡(大博多ホール)で開催された。
3回目を迎えた本年のセミナーは,医療安全をテーマに掲げた。厚労省から各医療機関に対し,医療安全管理体制の整備が義務付けられて約5年。医療安全を醸成する文化は確実に根づいてきたが,今後は質の向上が課題となる。本セミナーでは,医師・看護師・薬剤師4名の講師が,それぞれの立場からパスを活用した医療安全への試みについて考察を行った。本紙では東京会場のもようを報告する。
セミナーの開演にあたり,本年4月に日本クリニカルパス学会理事長に就任した,聖路加国際病院院長の福井次矢氏が登壇,主催者挨拶を行った(インタビュー別掲)。
今,求められる医療の安全確保と質の向上
ヘルスケアリスクマネジメントの第一人者である中島和江氏(阪大病院)が「今,求められる医療の安全確保と質の向上」のテーマで基調講演を行った。
まず,「クリニカルパスは医療安全の質の向上のために有用なツールである」としたうえで,「(パスに記載してあっても)ルーチン通りの実施でよいのか,患者の個別性を考慮したアセスメントが求められる」と述べ,患者ごとの適切な評価がパス運用の前提であるとし,医療行為が画一化することの危険性を指摘した。また,一つひとつのインシデントについても「定量的な分析が必要」と述べ,丁寧な作業が根本的な原因分析,ひいては質の向上につながっていく,と訴えた。
今春,阪大病院では研修医・看護師合わせて約800人の新人職員を迎えたという。中島氏は「適切な患者の観察ポイントについて“小姑的に”細かくパス上に盛り込むことで,知識がなかったために起こるミスを防止している」と述べ,経験値や専門が異なる「職員の個別性」も考慮しながらパスを作成する必要性を指摘した。
講演の締めくくりとして中島氏は「医療安全はチーム医療と情報の共有に支...
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