医学界新聞


米国臨床免疫学会連合集会(FOCiS 2007)の開催にあたって

寄稿

2007.04.16

 

【寄稿】

基礎免疫学の成果を臨床に
米国臨床免疫学会連合集会(FOCiS 2007)の開催にあたって

山村隆(国立精神・神経センター神経研究所 疾病研究第六部部長 FOCiS2007 Co‐Chair)


 本年の6月7日から11日まで,米国サンディエゴで第7回米国臨床免疫学会連合集会(FOCiS2007)が開催されます(http://www.focisnet.org/meetings/am07/)。私は現在,4名の組織委員(Co-Chair)の一人として運営のお手伝いをしておりますが,一人でも多くの日本人医師,研究者に参加していただきたく,この学会の簡単なご紹介をさせていただきます。

疾患・臓器の垣根を越えて

 FOCiSはFederation of Clinical Immunology Societiesの頭文字を取ったネーミングで,「フォーカス」と発音します。免疫に関連した臨床系の学会は米国内だけでも20以上ありますが,2001年にスタンフォード大学のGarrison Fathman教授とハーバード大学のDavid Hafler教授が,これらを統合した組織の必要性を訴え,FOCiSを設立しました。免疫に関連する病気には,多発性硬化症(MS),1型糖尿病などの臓器特異的自己免疫疾患,全身性エリテマトーデス(SLE)などの全身性自己免疫疾患,喘息やアトピーなどのアレルギー性疾患などがあり,移植や感染症の診療においても免疫の知識は欠かせません。実際,免疫に縁のない診療科はないと言っても言い過ぎではなく,それぞれの学会で免疫関連のセッションが組まれています。しかし,疾患別あるいは臓器別の学会では,取り上げられるテーマや内容も限られ,先端的な議論に参加できる会員の数も限られることが問題になっています。

 FOCiSでは,疾患や臓器別の垣根を越えて,「免疫制御(Immunoregulation)」「免疫診断(Immunodiagnosis)」「免疫遺伝学(Immunogenetics)」「免疫療法(Immunotherapy)」「宿主防御(Host Defense)」の5大テーマを選び,招待講演と一般参加者によるワークショップとポスターセッションで,それぞれのテーマを掘り下げます。その理念は,「免疫学を通じた人類の健康の増進(improving human health through immunology)」にあり,「医療現場に免疫学の成果がなかなか還元されない現状」を打破しようという意図が明確にされています。

充実したプログラムの数々

 この学会では,現在,免疫学(臨床免疫学)で話題になっている内容を重点的に取り上げ,それぞれの領域の第一人者に講演をお願いしています。本年は,「制御性T細胞(Regulatory T cells)」,「Th17細胞」,「新しい免疫療法」,「サイトカインネットワーク」,「自己免疫病の遺伝子解析」,「腸内細菌と免疫」などに関する興味あるセッションが並んでいます。招待講演者は,この2,3年以内に重要な

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