医学界新聞

寄稿

2007.02.12

 

【寄稿】

「富山県研修医会」発足

徳永貴広(富山県立中央病院初期臨床研修医)


 昨年11月17日,富山市内のボルファートとやまにて,第1回富山県研修医大会が開催されました。県内から60名を超える研修医が集まり交流を深め,その場で「富山県研修医会」が発足しました。

 県研修医会発足の機運が高まったのは,昨年の7月。県医師会が主催した卒後医師臨床研修会で,研修医が中心となって実施したアンケートがきっかけでした。「研修制度を盛り上げるには」との問いに,「研修医同士の交流会など,病院間のネットワークの構築を」,「富山県医師会があるのなら富山県研修医会をつくっては」との声があがりました。2年でメンバーが総替わりしてしまうなど,研修医会の設立には困難が予想されましたが,各病院の研修医代表が話し合いや準備を行い,11月の県研修医会発足を迎えました。 大会では,聖マリアンナ医科大学医学部救急医学教室教授の箕輪良行先生に「初期臨床研修をサバイバルする心得」と題して講演をしていただきました。離島・三宅島での診療経験や,救命での研修についてなど,集まった研修医たちも真剣に耳を傾けていました。ご講演の後,県研修医会の発足を発表し,一同の承認を得ました。そしてその後,交流会を行いました。久しぶりの同級生との再会を喜ぶ声があちこちに溢れ,お互いの研修についてざっくばらんに情報交換ができ,大変盛り上がりました。

 県研修医会の目標・展望は以下の通りです。

1)県内研修医同士の交流
 現在,研修医は病院間での交流がほとんどなく,他病院の研修の様子を知ることができない。また研修医の人数が少ない病院では,同じ立場の者同士で悩みや喜びを共有することが少ない。県内研修医の交流を深めることが必要である。

2)学生への働きかけ
 学生が研修先を選ぶ時,いちばん参考になる情報は,研修医の生の声であるが,それを聞くのは難しいことも多い。学生との交流会を開催して,病院を紹介,“研修医の本音”を語り,未来の研修医に有益な情報を与える。

3)研修病院への提案
 厚労省の決めた同じカリキュラムに準じて研修を行っている,共通の視点を持った研修医の立場から,研修病院へ提案を行い,研修の向上を図る。

 行政や研修病院,大学病院が主導するケースはあっても,研修医が中心となって県内研修医の結束を図ろうという試みは,おそらく富山県が初なのではないでしょうか。

 地方の医師不足が懸念される中,今回の県研修医会発足により,富山県の研修が盛り上がり,研修医たちが頑張っていることを全国にアピールすることで,富山を選ぶ若い医師が増えることを願ってやみません。


徳永貴広氏
1994年東大理科一類入学,98年同大中退。99年富山医薬大(現富山大)医学部医学科入学。2005年同大卒業。同年,富山県立中央病院初期臨床研修医。
初期研修修了後は耳鼻咽喉科をめざす。今後,耳鼻咽喉科のspecialityを身につけるとともに,generalistとしての視点を持てるよう,日々研鑽している。

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