EBMコンテスト参加記(上山伸也)
第28回国際内科学会
寄稿
2007.02.12
【寄稿】
第28回国際内科学会EBMコンテスト参加記 上山伸也(倉敷中央病院小児科レジデント)
第28回国際内科学会にて,初の試みであるEBM コンテストが開催されました。EBMでコンテストと聞いても,どのように何を競うのか,不思議に思う人のほうが多いのではないでしょうか。
EBM コンテストの概要
今回のコンテストには計10チームが参加しましたが,そのうち3チームが日本であり,他の参加国もマレーシア,台湾,韓国など,アジアの3か国だけでした。残念ながら世界各国から参加チームを募ることはできず,知名度はいまひとつだったようです。今回のコンテストが初めての試みということも影響したのでしょうか。 予選は計3回行われ,各予選に3-4チームが参加し,それぞれの予選のトップチームがfinal championship competitionに出場することができます。我々日本チームも各予選に参加しましたが,残念ながらfinal championship competitionに駒を進めることはできませんでした。
コンテストで与えられた時間は計4時間。そのうちの1時間は最後のディスカッションに当てられていましたから,我々がディスカッションにむけて準備できる時間は3時間でした。あらかじめ準備されたシナリオに対して,まずPICO(Patient/Intervention/Control/Outcome)を立てることから始まります。PICOを立てるのに許された時間は40分。一見時間がありそうに思うのですが,ここでつまずくと,以後の文献検索に影響が出るため,どのチームもPICOを立てるのに意外に時間がかかったようです。我々もぎりぎり40分でPICOを立てました。
その後開催者から,あらかじめ準備されていたPICOが全員に通知されました。文献の検索能力を比較するために,PICOを統一する必要があるとの判断のようでした。コクランやUpToDate,Pubmedなどで文献検索を行い,文献を吟味し,そして最後にシナリオの患者に当てはめるという内容をすべてパワーポイントでまとめるところまで,与えられた時間はわずか2時間。あっという間に時間は過ぎていきました。
発展途上のコンテスト
さて他の参加チームの発表を見て感じたことですが,文献検索の方法,論文の吟味の仕方などでつまずいているチームもあり,今回の参加チームではまだまだEBMは普及していない印象を持ちました。またコンテストの最後のプレゼンテーションでも,発表者のプレゼンテーションのみで終わり,活発な議論が交わされるというシーンを見ることがでこの記事はログインすると全文を読むことができます。
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