新春随想2007(満屋裕明)
サイエンティストはカッコいい!
2007.01.22
新春随想
2007
サイエンティストはカッコいい!
満屋裕明(熊本大学教授 血液内科・膠原病内科・感染免疫診療部 この100年の間に私たちの生活を何であれ著しく変えたものを挙げよと問うと皆が考える。その答えは概ね,『電気(照明),飛行機,電話,自動車(大量生産化),テレビ,冷蔵庫,クレジットカード,パソコン,e-mail,GPS』等である。最近の生物学・医学でいえば,『遺伝子治療,ゲノムプロジェクト,インフォームドコンセント』と来る。それらのすべてがたった一つの国からやってきた,と解くと,皆が驚く。すべてがアメリカからである。そして,サイエンスこそが紛れもなく私たちの生活を目に見える形で豊かにしたのが思い知れる。原子爆弾と月世界探検をはじめとした宇宙飛行を加えても良いが,私たちの最近の生活に直接の影響を与えたという実感がないので,もう少し卑近な例を取って見よう。
日本生まれのウォークマンは多くの人のライフスタイルをある程度変えたかもしれないが,残念ながら,その影響について考えると最近のiPodのインパクトのほうがずっと大きい(但し,ウォークマンが先行したという点で,この評価には異論があると思うが)。私の結論から言うと,アメリカの強さ,豊かさと世界の人々のアメリカへの憧れの源泉はアメリカのサイエンスの強さにほとんどが発していると断言できる。最近でこそ米国は最も嫌われている国になっている面があるが,その強さと豊かさはまだしばらくは揺るぎそうにない。まさに『科学立国』による強さと豊かさである。アメリカに住んでいてアメリカのサイエンスの強さと深さに嫉妬してしまう。日本にも突出した科学領域があるとはいえ,それはまだ部分的で日本のサイエンスの底が浅いのをつい恥じてしまう。
アメリカでは多くの若い人たちがサイエンスに憧れている。国全体がサイエンスをサポートするのである。私...
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