医学界新聞


臨床現場での導入の動き拡大

2007.01.22

 

「第8回腹臥位療法推進研究会」セミナー開催

臨床現場での導入の動き拡大


 さる2006年12月17日,聖路加看護大学(東京都中央区)において,「第8回腹臥位療法推進研究会」セミナーが開催された。聖ルカ・ライフサイエンス研究所の主催で行われているこのセミナーでは,腹臥位,一般的に言う「うつぶせ寝」がもたらす効果の医学的検証や,臨床的応用について議論を交わしている。

臨床医療現場での導入の動き拡大

 冒頭,挨拶に立った日野原重明氏(聖路加国際病院)は,「人が背臥位で寝ることは単なる習慣に過ぎず,生理学的によいという根拠があるわけではない」と述べ,自身が腹臥位で寝ることによって得られた効果を紹介。また,その後行われた特別講演でも腹臥位療法の臨床的効果について述べ,「私は近い将来,腹臥位が常識となる時代が来ると考えている」と,腹臥位療法の可能性を強調した。

 この日のセミナーで特徴的だったのは,発表者・質問者に医師が多く見られたこと。腹臥位療法推進研究会設立当初からのメンバーである丸川征四郎氏(兵庫医大)が基調講演で腹臥位療法がもたらす呼吸器,消化管機能の改善効果や誤嚥防止に関するエビデンス集積状況を概観したほか,安間文彦氏(鈴鹿病院)が神経疾患患者への腹臥位療法導入を,今中秀光氏(国循集中治療部門)がICUなどでの急性呼吸障害患者への腹臥位療法導入についてそれぞれ報告した。

 一方,看護系では小板橋喜久代氏(群馬大)が脳血流についての研究データを発表したほか,看護師主導で腹臥位療法を先駆的に導入している市立加西病院の取り組みが,病棟課長の織辺智香子氏によって紹介されるなど,臨床現場での導入が徐々に拡大していることをうかがわせた。

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