セラピストのための 最適な論文の探しかた
AIツール活用から体系的検索まで
PubMed×AIで、臨床に活かす“最適な論文”を選び抜く力を。
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「論文検索って難しそうだし、時間がない」と敬遠しがちな若手セラピストや学生に向け、PubMedによる体系的検索の基礎から最新AI活用術までを平易に解説する。単なる検索テクニックのノウハウに留まらず、確実性と利便性を使い分ける「最適な論文の探しかた」という一生モノの武器の習得を目指す。検索の先にある、目の前の患者さんへ最善を届けるため、臨床の疑問を確信へと変える力を養うPT・OT・ST必携の実践ガイド。
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序
インターネットを使えば論文は簡単に手に入る時代になりました.また,生成AIを使えば英語の壁も消え,翻訳も一瞬で可能です.それはセラピストの界隈も同じです.しかし,多くのセラピストからは,「そうはいっても,結局どうやって最適な論文を探して,どれを読むべきかがわからない」という声も届いています.
本書は,そんなセラピストの抱える悩みから生まれました.
今,時代は猛烈なスピードで動いています.生成AIを使うことはもはや当たり前のスキルとなり,情報の入手スピードや方法は劇的に向上・変化しました.しかし,便利さと引き換えに,私たちは最も重要なプロセスを飛ばしてしまっていないでしょうか.
それは,「どのように最適な論文を探し出すか,そもそも最適な論文とは何か」という,情報収集の本質です.
どれほど優れた最新技術であっても,使う側に提示された情報を正しく選ぶ力がなければ,その真価を発揮することはありません.むしろ,溢れる情報の波に飲み込まれ,判断を誤ってしまうことさえあります.本質を理解しないまま技術だけを追うのは,目的地を知らないまま高速な乗り物を操るようなもので,結果として迷子になってしまいます.
もちろん,生成AIを含む最新の技術を否定するわけではありません.むしろ,これからのセラピストにとって,それらを使いこなすリテラシーの習得は必須です.
本書は,時代に左右されない情報リテラシーの本質をしっかりと捉えながら,同時に最新の技術をいかに臨床や研究に役立てるか,その両輪を回せるような内容を追求しました.この本を手に取っていただいた皆さんが,それぞれの目的に応じて「最適な論文の選択」ができるようになることを心から願っています.
最後に,生成AIの台頭をはじめとする時代の急激な変化もあり,本書が完成するまで数年の月日を要してしまいました.その間,辛抱強く一緒に作り上げてきてくださった共著者の倉形裕史先生,澤村彰吾先生,そして医学書院の北條立人氏に深く感謝を申し上げます.また,要所要所で内容に関する貴重なご助言を片岡裕貴先生よりお寄せいただきました.この場を借りて御礼申し上げます.
2026年2月
執筆者を代表して
三木 貴弘
目次
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序
第1章 なぜ最適な論文を探す必要があるか考えよう
1.「最適な論文」とは何かを知ろう
[COLUMN]
グラフのウソ
抄録だけを読んで判断していいの? SPINの問題
スコーピングレビューとは?
論文の構成
アカデミックライティングに触れてみよう
2.PICOとは何かを知ろう
[COLUMN]
派生形であるPECO・PICOT
3たの理論
3.EBMとは何かを知ろう
4.最適な論文の活用法を身につけよう
[COLUMN]
コピペレポートの問題点:ウェブサイトや生成AIの落とし穴
5.目的に合わせた論文の探し方を知ろう
6.生成AI時代の検索を考えてみよう
第2章 PubMedで実践する体系的検索
1.論文検索の基本を知ろう
[COLUMN]
演算子の調べかた
どれだけ広く検索しても「漏れがあるのではないか」と感じる不安への対処法
日本語での論文検索に役立つデータベース
2.実際にPubMedで検索してみよう:基本編
[COLUMN]
Automatic Term Mappingのメリットとデメリット
PubMedをもっと詳しく学ぶための資料
検索の精度を高めるMeSH設定:Major Topicとexplode検索の使い方
3.実際にPubMedで検索してみよう:応用編
[COLUMN]
フィールドを指定して検索する
My NCBIの使いかた
無料で使用できる二次情報データベース
4.検索結果が「思いどおりにいかない」ときの調整術
5.「1本」から広げる「芋づる式検索」(Citation Searching)
6.「全文」を手に入れる技術(Full Text Access)
第3章 AIを使った論文検索
1.AIをどのように使ったらよいか理解しよう
2.ChatGPTとは?
3.Geminiを知ろう
4.その他の生成AIツール
[COLUMN]
機械翻訳サービスの使い分け
関連論文を可視化するツール:Connected PapersとResearchRabbit
第4章 ケーススタディ
ケース1 変形性膝関節症の痛みを改善するのに減量は有効か?(治療の疑問)
1.Elicitによる検索
2.PubMedによる検索
[COLUMN]
コホート研究
ケース2 脳卒中患者の10年以内の再発率は?(予後の疑問)
1.Elicitによる検索
2.PubMedによる検索
ケース3 慢性期脳卒中患者の上肢機能改善に最も効果的なリハビリテーションは何か?(あいまいな治療の疑問)
1.Perplexityによる検索
2.Elicitによる検索
3.PubMedによる検索
4.ChatGPTを用いたAI検索
おわりに
索引




