総合リハビリテーション Vol.54 No.3
2026年 03月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 肩と肘を極める

 本特集は,肩関節と肘関節に焦点を当て,それぞれの関節に関する理解とリハビリテーション治療の質を高めることを目的として企画しました.肩関節と肘関節は両方とも複雑な運動機能と高い機能的要求を伴う部位であり,患者の年齢や活動レベルに応じて多様な障害像が現れます.そのため,臨床では構造と動態の正確な理解に加え,年齢層や背景に応じた多角的な対応が求められています.本特集が,臨床に携わるリハビリテーション関係者にとって,肩と肘を“深く診る”ための視点や介入の引き出しを増やす機会となることを願っています.

1.肩関節の動的理解と画像診断の進歩 沼口京介 氏ら
 「肩関節」は,胸鎖関節・肩鎖関節・肩甲胸郭関節と胸椎伸展・回旋,肋骨挙上を含む胸郭運動が噛み合って成立する肩関節複合体として動的に理解する.Scapular dyskinesis(TypeI~III),腱板・上腕二頭筋長頭・三角筋のフォースカップル,ABER位での下関節上腕靱帯複合体などが動的安定化や疼痛の理解に重要である.近年は四次元CT(computed tomography)の進歩により,投球肩の骨頭中心と関節接触面の“逆方向移動”という微小動態まで可視化できる.

2.成長期における肩関節のスポーツ障害と理学療法 高見悠也 氏ら
 成長期は骨端線が回旋などの剪断力に弱いので,投球障害で代表的な上腕骨近位骨端線離開が生じる.治療は保存療法を軸に,Phase1ではノースローで肩甲上腕関節・肩甲胸郭関節のエクササイズに加え,growth spurtを見据えて体幹・下肢まで整える.Phase2では投球再開を段階的に行い,5つのポイントで投球フォームをチェックする.Phase3では練習に復帰し,セルフコンディショニングと投球数管理,定期X線フォローを行う.

3.中高年に多い肩関節の病態とその対策 内藤昌志 氏
 凍結肩では炎症期は安静と疼痛管理を優先し,夜間痛が消えたら運動療法を行い,発症後3か月で改善が乏しければ授動術なども検討する.腱板断裂は約3分の2は無症候なので painful arc signや impingement signなど身体所見が診断の核になる.変形性肩関節症ではX線の goat's beardosteophyte,腱板断裂性肩関節症の acetabulization/femoralizationが手掛かりであり,治療法の最終手段としてはリバース型人工肩関節がある.上腕骨近位端骨折では,2週以内の早期リハビリテーションと振り子運動を“正しくできているか”が成績を左右する.

4.肘関節の動的理解と画像診断の進歩 岩堀裕介 氏
 肘関節は“動く関節”であり,内側または尺側側副靱帯(medial or collateral ligament:MCL/UCL)・外側側副靱帯(lateral collateral ligament:LCL)・関節包と骨性制約(尺骨鈎状突起・肘頭・橈骨頭)が安定化に寄与する.MCLは前斜走靱帯・後斜走靱帯・横走靱帯に分けられ,投球など高負荷下では回内屈筋群(円回内筋,橈側手根屈筋,長掌筋,浅指屈筋,尺側手根屈筋)が動的制御因子として外反ストレスを補完する.LCL複合体損傷による肘関節後外側回旋不安定症(Postero-lateral rotatory instability:PLRI)と Osborne-Cotterill lesion(OCL)は,“見逃しやすい骨片”としてX線内旋位斜位像+computed tomography(CT)/magnetic resonance imaging(MRI)で診断する.尺骨鈎状突起骨折では,3D-CTに基づくO'Driscoll分類がアプローチ・固定法選択に直結する.

5.小児の肘関節障害とスポーツ障害 小林弘幸 氏ら
 成長期の代表的な肘スポーツ障害である「野球肘」は,内側型/外側型に分けられる.上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎や内側上顆障害,内側側副靱帯関連障害のエコー/magnetic resonance imagingによる早期発見と負荷調整が予後を左右する.投球動作を動作分析し,復帰期は内的フォーカスに偏らず外的フォーカス(道具・課題設定)でフォームを再教育し,動画撮影やフォーム解析アプリで変化を可視化する.保存療法の要諦は,①痛みを軽視しない,②外的フォーカスで再学習,③保護者・指導者と休養・投球数管理を共有,という「3つの原則」である.

6.中高年に多い肘関節の病態とその対策 小田 良 氏
 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)では臨床テスト,X線・magnetic resonance imaging・関節超音波による評価を行い,安静・装具・局所注射,ストレッチ~筋力強化を肩甲帯や体幹まで行う.上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)では,屈筋群起始部の微小損傷・尺骨神経症状への目配りが必要である.変形性肘関節症では骨棘・遊離体による catching/lockingや伸展制限がポイントで,保存療法,鏡視下手術,さらに人工肘関節全置換術(total elbow arthroplasty:TEA)がある.肘周囲骨折では computed tomography(CT,3D再構成)での術前把握と,固定術後1週以内の早期からの可動域訓練がポイントである.肘部管症候群では予防と生活指導が重要である.

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特集 肩と肘を極める

今月のハイライト

肩関節の動的理解と画像診断の進歩
沼口 京介,他

成長期における肩関節のスポーツ障害と理学療法
高見 悠也,他

中高年に多い肩関節の病態とその対策
内藤 昌志

肘関節の動的理解と画像診断の進歩
岩堀 裕介

小児の肘関節障害とスポーツ障害
小林 弘幸,他

中高年に多い肘関節の病態とその対策
小田 良


●巻頭言
来なかったすべての未来に祝福を
城戸 顕

●入門講座
人工呼吸器離脱のステップ②
人工呼吸器離脱に向けての看護ケア
中山 真代

認知症診療に役立つ全般的認知機能評価のコツ③
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
小海 宏之

●実践講座
私はこうしている──ボツリヌス治療とリハビリテーション①
脳卒中片麻痺
正田 奈緒子

既製品の短下肢装具の選び方①
オルトップAFO
岩澤 里美,他

●研究と報告
地域在住高齢者の社会参加促進に向けたSNS活用の可能性と課題
宮寺 亮輔,他

●症例報告
急性期動眼神経麻痺患者の眼瞼下垂と眼球運動障害に対する作業療法──単一事例研究ABAB法
佐藤 将人,他


●リハビリテーション専門職のワークライフバランス②
作業療法士──作業療法士として学び・働き続けるために
山本 伸一,他

●ビッグデータ,リアルワールドデータの活用⑥
日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)のリハビリテーション医療への応用
井手 一茂,他

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
沢木耕太郎の『流星ひとつ』──藤圭子の「舞台恐怖症」
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「非行少女」──体感,記憶,伝承されるべき「15歳・和泉雅子」
二通 諭

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