理学療法ジャーナル Vol.60 No.11
2026年 11月号

ISSN 0915-0552
定価 2,090円 (本体1,900円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • EOI : essences of the issue
  • 収録内容

開く

特集 急性期病院における理学療法──早期離床・連携・HAD予防

 超高齢社会の進行と生活習慣病の多様化に伴い,急性期病院に入院する患者は年々高齢化・重症化している.救命・治療を最優先としてきた急性期病院でも,わずか数日の臥床が機能低下を招くことから,早期の理学療法の重要性が広く認識されるようになった.さらに,理学療法士が多職種や地域と主体的に連携して取り組みを強化する意義は,近年の診療報酬改定にも示されている.本特集では,入院初日から退院後までを見据えた急性期病院における理学療法について「早期離床」,「連携」,「HAD予防」をキーワードとし,理学療法士ならではの視点や活躍できるポイント,回復期や地域など後方支援施設との連携まで,最前線で活躍される臨床家たちの取り組みについて解説する.

急性期病院における理学療法──総論 市川 毅
 超高齢社会の進行に伴い,急性期理学療法には救命後の機能予後を見据えたかかわりが求められている.特に,入院関連機能障害(HAD)は高齢患者に高頻度に発生し,退院後の日常生活活動や生活範囲,さらには予後にも影響を及ぼす.その予防には,身体活動の促進を中心とした理学療法に加え,多職種連携による包括的支援が重要である.本稿では,HADの病態と予後,多職種連携の役割,急性期理学療法の実践ポイントおよび地域連携の必要性について概説した.

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法 黒部恭史,他
 大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法における早期離床と活動量確保の意義,多職種連携の実践について概説した.本骨折は高齢者に多く発生し,日常生活活動障害を高率に呈するのみならず,全身的な炎症反応や身体機能低下を伴う全身性疾患として位置づけられる.急性期では不動化により二次的機能低下が進行しやすく,早期離床と活動量の維持・向上が重要となる.しかし,疼痛やせん妄など多因子が活動制限に関与するため,多職種連携による包括的なかかわりが不可欠である.理学療法士は病棟生活を含めた活動量マネジメントの中核を担い,継続的な支援体制の構築が求められる.

椎体骨折後の急性期理学療法 峯玉賢和,他
 骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)は高齢者に最も多い脆弱性骨折であり,疼痛や活動性低下に伴う入院関連機能障害(HAD),椎体圧壊による脊柱後彎変形,ならびに続発骨折による骨折連鎖が問題となる.急性期理学療法では,画像所見や疼痛に配慮しながら安全な早期離床を進めるとともに,脊椎への負荷を考慮した運動療法および日常生活活動(ADL)指導を行うことが重要である.本稿では,OVFを中心に,保存療法および手術療法後の理学療法,多職種連携,続発骨折予防の取り組みについて概説する.

脳卒中発症後の急性期理学療法 伊藤翔太,他
 脳卒中後に生じる日常生活活動(ADL)の自立度低下は,神経症状由来の機能低下と身体活動量低下に伴う機能低下が混在して生じている.ADLの自立度改善に向けて,早期離床が重要とされており,発症後24~48時間を目安に重症度・病型に応じて調整することが求められる.さらに,神経筋電気刺激療法などの物理療法の活用や,多職種連携による身体活動量増進および合併症予防がADLの自立度改善に寄与すると考えられる.

心不全後の急性期理学療法 鬼頭和也,他
 急性心不全の理学療法では,過度な安静による入院関連機能障害(HAD)と,早期離床に伴う循環動態破綻という相反するリスクの均衡をいかに保つかが課題となる.本稿では,①安全な早期離床,②多職種連携,③HAD予防の3つを柱に,離床基準や運動処方,理学療法士の役割,退院後を見据えた連携体制を概説する.これら3要素を相互に連動させ,安全と活動のバランスを保ちながら機能予後の改善につなげる視点を提示したい.

高齢肺炎患者における急性期理学療法 青木秀樹,他
 高齢肺炎患者における入院関連機能障害(HAD)の予防は,本邦における高齢化や要介護高齢者の増加を背景に重要な臨床課題となっている.本稿では,高齢肺炎患者に対する急性期理学療法について,HAD予防の観点から早期離床,多職種連携,気道クリアランスの重要性を概説するとともに,要介護高齢肺炎患者に対する急性期理学療法の実践と今後の課題について症例を交えて考察した.

消化器癌周術期における急性期理学療法 鈴木昌幸
 消化器癌患者の身体機能低下は術前治療中から退院後にわたり連続して生じ,入院関連機能障害(HAD)を来しやすい.HADは患者の生活の質にとどまらず,術後補助化学療法の実施可能性にも影響し得る.本稿では,プレハビリテーション,早期離床と多職種連携を中心とした入院中の理学療法,退院時指導までをシームレスな支援として捉えた実践を紹介する.

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を通じた急性期理学療法 内田健作
 急性期病院におけるリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算では,多職種連携による病棟全体の日常生活活動(ADL)低下予防が求められている.そのなかで当加算専従療法士は,病棟全体を俯瞰するマネジメント的役割を担う.本稿では,制度の概要と運用のポイントを整理するとともに,当院における全患者を対象とした評価体制,ADL低下ハイリスク患者への重点的な介入,担当療法士との役割分担を含めた実践例を紹介する.

開く

医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 急性期病院における理学療法──早期離床・連携・HAD予防

急性期病院における理学療法  総論
市川 毅

大腿骨近位部骨折術後の急性期理学療法
黒部恭史,他

椎体骨折後の急性期理学療法
峯玉賢和,他

脳卒中発症後の急性期理学療法
伊藤翔太,他

心不全後の急性期理学療法
鬼頭和也,他

高齢肺炎患者における急性期理学療法
青木秀樹,他

消化器癌周術期における急性期理学療法
鈴木昌幸

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を通じた急性期理学療法
内田健作


■Close-up 再入院を防ぐ! 心不全患者のための理学療法超実践
急性期病院
濱崎伸明

外来における心不全患者のための理学療法超実践
松木良介,他

再入院予防の主戦場は在宅である──心不全患者に対する訪問リハビリテーションの実際と理学療法士の役割
井谷祐介


●とびら
人を支え,自分を支える
立花紀子

●脳画像を多職種連携に活かす! 脳卒中診療編⑦
脳出血──被殻
内藤善規

●わたしの時間の過ごし方③
「平日はヒザ,休日はピザ」
小川菜々美

●発達性協調運動症 理学療法士の実践ガイド⑤
多職種連携アプローチの実際──家族支援を含む
春田大志

●計測力を磨く──簡易機器で始める臨床研究入門⑧
呼吸機能の計測──簡易スパイロメーター
森 健太郎,他

●臨床実習サブノート おさえておきたい! カルテのみかた⑦
急性期脳梗塞
鎌田将星,他

●資料
変形性膝関節症の歩行時における筋同時収縮活動の特徴に関する文献レビュー
木村太祐

●プラクティカル・メモ
動画と計測データの同期再生による動作解析の効率化──KinoveaとPythonによる臨床応用
尾科洋輔

腰椎過前彎に対する理学療法
井手口頼二

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。