頭部外傷治療・管理のガイドライン 第5版
項目建て・CQ(Clinical Question)を全面的に見直し、推奨をより明確化!
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頭部外傷診療をとりまく環境の変化と診療連携へのアップデートを中心に据え、全編に渡って項目(CQ)を再編した7年ぶりの改訂。今改訂では昨今の診療対象の変化に伴い「慢性硬膜下血腫」「抗血栓薬と頭部外傷」の各項目を追加するとともに「スポーツ関連脳振盪(SRC)」の内容を更新し競技や学業復帰基準などにも言及。ガイドラインという読み物の一面を持ちながらも日常臨床のベッドサイドでの使用にも耐えうる待望の1冊。
| 監修 | 一般社団法人 日本脳神経外科学会 / 一般社団法人 日本脳神経外傷学会 |
|---|---|
| 編集 | 頭部外傷治療・管理のガイドライン 作成委員会 |
| 編集協力 | 一般社団法人 日本外傷学会 / 一般社団法人 日本てんかん学会 / 一般社団法人 日本総合病院精神医学会 / 一般社団法人 日本脳神経血管内治療学会 |
| 発行 | 2026年10月判型:A5頁:344 |
| ISBN | 978-4-260-06661-7 |
| 定価 | 3,850円 (本体3,500円+税) |
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序 「頭部外傷治療・管理のガイドライン」の改訂(第5版)にあたって
「重症頭部外傷治療・管理のガイドライン」初版が上梓されてから四半世紀,このたび改訂第5版が作成されるに至った.本来,診療ガイドラインは普遍的真理に基づいた効果的・効率的治療指針であり,診療対象,診療体制,社会情勢,エビデンスの蓄積などを反映し,常に改訂されるべき性質のものである.今版ではこれらの変化に対応すべく,全編にわたって項目(Clinical Question:CQ)を見直して再編し改訂を行った.
まず,診療対象の変化に関し,日本頭部外傷データバンク(Japan neurotrauma data bank:JNTDB)によれば,本邦における頭部外傷の全体的な動向として,①若年者が減少し高齢者が増加,②重症例が減少し中・軽症例が増加,③受傷機転として交通事故が減少し転倒・転落が増加,④死亡率は減少したが転帰良好例は増加していない,といった傾向がより顕著になった.高齢者頭部外傷の増加により,抗血栓薬内服患者や慢性硬膜下血腫への対応も標準化することが必然となり,今回の改訂では補遺として新たに「13-1 慢性硬膜下血腫」「13-2 抗血栓薬と頭部外傷」を追加することとなった.また,「9. 軽症・中等症頭部外傷への対処」も充実が図られた.診療体制の面から言えば,本邦における頭部外傷診療は様々な臨床局面における標準化がよりいっそう進み,多施設・多診療科・多職種連携は必須となった.そこで,「3. 画像診断」では項目立て(CQ)を見直して再編集を行い,内容の充実を図った.近年,社会的に注目度が増しているスポーツ頭部外傷分野では,特に「10. スポーツ関連脳振盪(sports related concussion:SRC)」をアップデートし,競技復帰・学業復帰基準などにも言及した.全編にわたっての見直し・改訂の結果,ガイドライン改訂の最も重要な基礎となる文献などのエビデンスの面から言えば,エビデンスレベルの高い研究が続々と上梓されていることを受け,前版の約1.5倍となる文献を引用することとなった.
今版の作成にあたっては,前版(第4版)作成時と同様,日本医療機能評価機構による外部評価(AGREE II)を導入した.その結果,「推奨文や各項目が章ごとに分けられ,わかりやすくまとめられた内容」との評価を得る一方,診療ガイドラインとしての透明性を高めるために,文献検索方法と選択基準,エビデンス評価,推奨作成のプロセスを詳細・明瞭に記載することが求められた.これらの指摘に対しては後述する「本ガイドラインの作成方法/本書の見方」で詳細に記載した.また,推奨の記載に関しては,前版(第4版)同様,各章ごとの小項目をCQと見立てて推奨を箇条書きに記載するスタイルを基本的に踏襲したが,CQの見直しや新たに抽出されたCQにより,推奨内容・表現の変更や新たな推奨が生じた箇所についてはCQ & Aの形式で記載した.
本書は,ガイドラインという読み物としての一面を持ちながら,日常臨床のベッドサイドでの使用にも耐えうるよう,白衣のポケットに収まるA5判サイズを踏襲した.上述のような頭部外傷診療をとりまく環境変化と診療連携へのアップデートを中心に据え,ガイドラインの改訂を行った結果,前版を上回る分量となったが,引き続き本ガイドラインが広く活用され,本邦の頭部外傷診療の向上に寄与することを期待してやまない.
2026年9月
「頭部外傷治療・管理のガイドライン 第5版」作成委員長
刈部 博
目次
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頭部外傷治療・管理のガイドライン第5版作成委員会
序
第4版の序
第3版の序
第2版の序
初版の序
第5版のガイドライン改訂の経緯
第4版のガイドライン改訂の経緯
第3版のガイドライン改訂の経緯
第2版のガイドライン改訂の経緯
初版のガイドライン作成の経緯
本ガイドラインの作成方法/本書の見方
1 救急医療体制と脳神経外科医
1-1 病院前救護(プレホスピタル・ケア)
1-2 専門施設への搬送基準,搬送方法,情報伝達システム
1-3 専門施設でのチーム医療における脳神経外科医の役割
2 初期治療
2-1 外傷初期診療
2-2 気道の確保と呼吸管理
2-3 循環管理
2-4 切迫脳ヘルニアの認識と対処
2-5 頭部外傷における凝固線溶系障害
2-6 多発外傷
3 画像診断
3-1 急性期画像診断の基本方針
3-2 脳損傷における造影CT/CTAの戦略的活用
3-3 重症化・予後予測指標の共有
3-4 repeat CT(再検)の適応とタイミング
3-4-1 基本方針:一律のルーチン再検(RRCT)の回避
3-4-2 再検を個別化する判断基準
3-5 MRIの適応:CT陰性・症状持続例
3-6 特殊状況下の補助診断(小児・その他)
4 ICU 管理
4-1 モニタリング
4-2 頭蓋内圧(ICP)測定の適応と方法
4-3 頭蓋内圧(ICP)と脳灌流圧(CPP)の治療閾値
4-3-1 頭蓋内圧(ICP)の治療閾値
4-3-2 脳灌流圧(CPP)の治療閾値
4-4 外科的処置(外減圧,内減圧,髄液ドレナージ)
4-4-1 外減圧
4-4-2 内減圧
4-4-3 髄液ドレナージ
4-5 鎮痛,鎮静,不動化
4-6 頭位挙上
4-7 過換気療法
4-8 マンニトール,グリセオール®,利尿薬,ステロイド
4-8-1 マンニトール,グリセオール®,高張食塩水
4-8-2 ステロイド
4-9 バルビツレート療法
4-10 体温管理療法
4-11 頭蓋内圧亢進の治療手順
4-12 外傷後発作
4-12-1 早期発作
4-12-2 晩期発作(外傷後てんかん)
4-13 栄養管理
4-14 抗菌薬
4-15 頭部外傷急性期の精神障害
5 手術適応と手術方法
5-1 閉鎖性頭蓋骨陥没骨折
5-2 開放性頭蓋骨陥没骨折
5-3 穿通性頭部外傷
5-4 急性硬膜外血腫
5-5 急性硬膜下血腫
5-6 外傷性脳内血腫,脳挫傷
5-7 びまん性脳損傷
5-8 外傷性頭頚部血管損傷
5-8-1 診断のための検査
5-8-2 治療
5-9 外傷性髄液漏
5-10 視神経管骨折・視神経損傷
5-10-1 発生機序
5-10-2 診断
5-10-3 治療
5-11 頭部外傷急性期の麻酔
6 頭蓋顔面外傷への対処
6-1 眼窩底(吹き抜け)骨折
6-1-1 症状
6-1-2 診断
6-1-3 手術適応・時期
6-2 顎顔面損傷
6-2-1 初期対応
6-2-2 診断
6-2-3 治療
7 小児重症頭部外傷
7-1 病院前救護(プレホスピタル・ケア)
7-2 専門施設への搬送基準
7-3 来院後の初期治療
7-4 ICUでの管理
7-4-1 頭蓋内圧(ICP)の測定の適応と方法
7-4-2 頭蓋内圧(ICP)の治療閾値
7-4-3 脳灌流圧(CPP)の治療閾値
7-4-4 鎮静薬,鎮痛薬,筋弛緩薬の治療的使用
7-4-5 脳室ドレナージによる頭蓋内圧(ICP)管理
7-4-6 高浸透圧利尿薬による治療
7-4-7 過換気療法
7-4-8 バルビツレート療法
7-4-9 体温管理療法
7-4-10 減圧開頭法
7-4-11 ステロイドの使用
7-4-12 栄養管理
7-4-13 抗てんかん発作薬
7-4-14 頭位挙上
7-5 児童虐待による頭部外傷
8 高齢者頭部外傷
8-1 病院前救護(プレホスピタル・ケア)
8-2 初期診療
8-3 管理
8-4 手術適応と手術方法
8-4-1 talk and deteriorate(T&D)
8-4-2 急性硬膜下血腫
8-4-3 減圧開頭術
8-5 抗血栓薬の影響
9 軽症・中等症頭部外傷への対処
9-1 基本的な治療指針
9-1-1 軽症・中等症頭部外傷の診断
9-1-2 脳振盪の症状
9-1-3 画像診断・検査
9-1-4 治療指針
9-1-5 職場(または学校)復帰の推奨基準
9-2 重症化の危険因子
10 スポーツ関連脳振盪(sports related concussion:SRC)
10-1 SRCの有効な診断方法
10-2 SRCへの対応
10-3 SRCの治療
10-4 SRC後の復帰
10-5 SRCの予防
10-6 慢性外傷性脳損傷(chronic traumatic encephalopathy:CTE)
11 後遺症への対応
11-1 急性期リハビリテーション
11-2 高次脳機能障害
11-2-1 外傷後高次脳機能障害の発症
11-2-2 急性期画像診断
11-2-3 高次脳機能障害の評価
11-2-4 慢性期画像診断
11-2-5 軽症脳外傷後高次脳機能障害における画像診断
11-2-6 認知リハビリテーション
11-2-7 薬物療法
11-2-8 包括的プログラム
11-2-9 自動車運転再開
12 外傷に伴う低髄液圧症候群
13 補遺
13-1 慢性硬膜下血腫
13-1-1 慢性硬膜下血腫に対する外科的治療
13-1-2 慢性硬膜下血腫に対する薬物療法
13-1-3 慢性硬膜下血腫に対する血管内治療
13-2 抗血栓薬と頭部外傷
索引




